レノボは毎週金曜の4時半以降にeスポーツ

 ただ、両社に話を聞くと、社内eスポーツ部を設けた理由、合同の練習試合を実施した理由はそれぞれに異なる。

 まずはレノボ・ジャパンの場合。前述のように、今回の練習試合は同社の「企業eスポーツ部支援プロジェクト」を見据えた企画だが、そのプロジェクト自体、営利目的ではなく、社内コミュニケーションの活性策やCSR(企業の社会的責任)に近い活動だという。

 「会社帰りに居酒屋で酒を酌み交わす“飲みニケーション”が下火になった今、eスポーツをキーに新たな社内コミュニケーションが構築できるのではないかという思いがあった」とレノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長は語る。

 eスポーツ部の創設自体、社員との交流から生まれた。同社eスポーツ部で中心となって活動するグローバル事業部の徳田晃之氏が、19年に開かれた社内パーティーの席で、ゲーム好きのベネット社長と意気投合。社内eスポーツ部の創設を提案したのだ。

 活動時間は終業後。同社では毎週金曜日を「430 FRIDAY」と名付け、午後4時半には業務を終える時短シフトを組んでいる。以降は、帰宅も自由だが、これを利用したさまざまな社内イベントも行われているそうだ。eスポーツ部も主にこの時間を利用して活動している。

秋葉原UDXにあるレノボ・ジャパン本社の一角に、ゲーミングPCを並べたコーナーがある。ここがeスポーツ部の拠点。合同練習試合に際し、部員の大半はここからeSports Studio AKIBAのソフマップチームと戦っていた
秋葉原UDXにあるレノボ・ジャパン本社の一角に、ゲーミングPCを並べたコーナーがある。ここがeスポーツ部の拠点。合同練習試合に際し、部員の大半はここからeSports Studio AKIBAのソフマップチームと戦っていた

 eスポーツ部の活動からは想像以上の効果を感じているとベネット社長は言う。年齢や性別、役職に関係なく、また群馬や米沢といった離れた事業所の社員も交えてコミュニケーションが取れる。これを企業間に発展させれば、他社との交流にも生かせるだろう。しかも、「私たちが得たノウハウは、他社がeスポーツに取り組むときにも役立てられる」(ベネット社長)。この考えが、先の企業eスポーツ部支援プロジェクトに結実する。

 さらに、ベネット社長は「せっかくeスポーツに取り組むのなら、モチベーション維持のためにも目標があったほうがいい」とも考えた。そこから企業対抗戦の構想と今回の練習試合につながったのである。

レノボ・ジャパンのeスポーツ部創部のきっかけをつくった同社グローバル事業部の徳田晃之氏。パーティーでベネット氏と意気投合したのが始まりだった。徳田氏が取材対応してくれた間、eSports Studio AKIBAから戻ったベネット社長が再び練習試合に参加していた(写真右奥)
レノボ・ジャパンのeスポーツ部創部のきっかけをつくった同社グローバル事業部の徳田晃之氏。パーティーでベネット氏と意気投合したのが始まりだった。徳田氏が取材対応してくれた間、eSports Studio AKIBAから戻ったベネット社長が再び練習試合に参加していた(写真右奥)