ECサイト構築サービスを提供するBASE(ベイス)が、新型コロナウイルス問題に苦しむ事業者支援に乗り出している。中国工場の製造ラインが停止するなどして苦境に立っていたアパレル事業者を対象に、代替の生産先を紹介する施策など、2つの支援策を実施した。

新型コロナウイルスの影響で工場の製造ラインが停止するなどして苦境に立っていたアパレル事業者を対象に、代替の生産先を紹介する施策を提供した
新型コロナウイルスの影響で工場の製造ラインが停止するなどして苦境に立っていたアパレル事業者を対象に、代替の生産先を紹介する施策を提供した

 代替生産先の紹介を始めたきっかけは、BASEでECショップを展開している事業者の中に、顧客に対して「入荷遅れを知らせる」メッセージが2月頭から目立ってきたことだ。

 BASEを使って洋服やファッション雑貨などを販売するアパレル事業者は製品を中国で生産したり、同国から仕入れているケースが多い。だが毎年、稼働率が落ちて入荷遅れなどが発生する「春節の時期を過ぎても、今年は状況が変わらないことなどから異変を察知した」と社長室PR Manegerを務める田中頌子氏は振り返る。

 BASEを利用するのは小規模なブランドが多く、大手と違って代替生産先をすぐに見つけることは困難だ。資金力も乏しいため、仕入れ、販売が滞ればたちまち経営に深刻な影響が出る。そこでBASEは、付き合いのある中国やアジアの工場を紹介することを思いついた。このアイデアにBASEが資本業務提携をしている丸井グループのD2C&Co.も賛同。同社がプライベートブランド(PB)で利用している生産先も紹介することになった。

 事業者支援の一環であることから、紹介手数料は無料とした。10日間募集して約100のブランドが利用を申請。「慌てて立ち上げたので、どれくらい申請するかは予想もつかなかったが、困っていたショップオーナーが多かったのだろう」と田中氏は話す。

 2月末になると、中国工場の生産ラインが復旧してきたため、2月29日に申請受付を終了した。

 同社によると、実は紹介先としては国内工場も候補に入れていたという。だが紹介を希望する事業者にヒアリングしたところ、国内ではコストが高いという理由から、国内工場の紹介はゼロだったという。

支援策に「ビジネス上のメリットは求めない」

 3月11日には第二弾として、催事・イベントの相次ぐ中止で販売機会を失った事業者にネットショップ開設の支援策を始めた。こちらもきっかけはネット上のつぶやきだった。「物産展に出すはずだったエッグタルトが売れ残ってしまった」。3月初めにBASEカスタマーエクスペリエンスの担当者がそんなメッセージを見つけ、すぐに何かできないかと検討を始めた。

 第二弾の支援策は、BASEを利用している事業者だけでなく、利用していない事業者も対象にした。物産展のような小規模イベントに出展する事業者には、ECサイトを持っていないところも少なくない。そのため、「ネットショップの開設サポートだけでなく、SNSやブログを活用した認知向上の助言などもすることにした」(田中氏)。

 この施策はBASEにとって自社サービス利用企業の開拓にもつながるが、「ビジネス上のメリットを求めたものではない」と田中氏は言う。開設支援に当たっては、同社スタッフは通常業務にはないサービスや業務を、通常業務をこなしながら提供することになる。それでも支援策は無償で提供している。

 BASEはサービス設計や企画などにおいて、「ショップオーナーのために何ができるか」という視点を追求しているという。そうした企業文化がタイムリーな支援の実現につながったのだろう。

(写真提供/BASE)