2020年3月24日、トヨタ自動車とNTTは互いに約2000億円を出資し、スマートシティの事業化に向けた長期的な取り組みを進めることを発表。トヨタが静岡県裾野市で21年に着工予定の「Woven City(ウーブン・シティ)」や、品川駅前のNTT街区でスマートシティプラットフォームを実装する計画だ。豊田章男社長が会見で強調したこととは?
トヨタ自動車の豊田章男社長は、NTTとの歴史的な業務資本提携に際したスピーチの最後で、トヨタグループの始祖である豊田佐吉の精神を整理・明文化した「豊田綱領」に記された「産業報国」の精神について触れ、以下のように語った。
「未来の社会づくりには大きなエネルギーが必要になります。先を見通すことが難しい大変革の時代、回答のない時代だからこそ、『お国のために』という意志を持ち、未来を創造する技術力と人間力を持った民間企業が決起することが大切だと考えております」
政府の強力なリーダーシップの下、スマートシティ計画を推進している中国やシンガポールなど、巨大資本を背景に米Google兄弟会社のサイドウォーク・ラボが手掛けるカナダ・トロント市のスマートシティ計画など、世界では都市単位でのデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んでいる。そんな中、日本を代表するトヨタとNTTが先導して日本発のスマートシティのプラットフォームを確立することが、世界における日本のプレゼンスを高めることにつながる。そうした強い意思が表れている。
トヨタとNTTは、2017年3月からコネクテッドカー分野での協業を行ってきたが、スマートシティ分野ではそれぞれの計画を進めてきた。トヨタは20年1月に開催された家電・IT見本市「CES 2020」で、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながるコネクテッド・シティ「Woven City(ウーブン・シティ)」のプロジェクトを発表した(関連記事「トヨタが静岡に『つながる街』 豊田社長が語る未来都市【CES2020】」)。
トヨタ自動車東日本の東富士工場跡地を利用し、さまざまなモビリティをシームレスにつなぐMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)やロボティクス、スマートホーム、AI(人工知能)など、最先端の技術が集う実験都市となる計画。完全自動運転かつゼロエミッションのクルマ専用道と、歩行者とパーソナルモビリティが共存する道、そして歩行者専用道を設けるなど、既存の都市計画にとらわれない、まさに“ゼロベース”でまちづくりを行う。
会見で豊田社長は、ウーブン・シティに取り組む意義について、改めてこう語った。
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