拡大する新型コロナ感染のなかで、ついに延期が決まった東京オリンピック・パラリンピックだが、デザインの面で見るとさまざまな工夫がある。例えば観戦チケットのデザインをとっても、日本の伝統的な色彩感覚で表現しており、十二単(ひとえ)に見られるような異なる色の布を重ねて美しい色調を表現する「重ねの色目」の手法も採用した。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が2020年1月に発表した東京2020オリンピック観戦チケット
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が2020年1月に発表した東京2020オリンピック観戦チケット

 今回の東京オリンピック・パラリンピックの観戦チケットのデザインは、競技場を彩るグラフィックや会場サイン、公式ライセンス商品などのデザインの母体になっているコアグラフィックスがベース。これに競技ピクトグラムを組み合わせた。

 チケットの上半分には、コアグラフィックスから切り出したかさねの色目の上に競技ピクトグラムを配置し、下半分は白い(パラリンピックのチケットでは上下配置が逆)。コアグラフィックスの端は正円でカットし、端正さ、しなやかさや動きを感じさせるようにした。

 色は「紅(くれない)」「藍」のほか、「藤」「松葉」の4色で、いずれも日本的な色彩感覚が強い。例えば紅は、やや紫がかった渋い赤で、平安時代からの伝統的な色だ。さらに十二単に見られるような、異なる色の布を重ねて美しい色調を表現する「重ねの色目」の手法も採用した。

1つの競技場には1つの色

 1つの競技場には1つの色が割り当てられ、会場に向かう道沿いのバナーや会場内の掲示物も全てチケットと同じ色で統一する。これによって会場間違いなどを防ぐとともに、観戦の際の一体感も盛り上げようとした。

 「1年程度延期」という異例の事態に追い込まれただけでなく、大会エンブレムや国立競技場のデザインコンペなど多くの物議を醸し出した今回の東京オリンピック・パラリンピック。開催された際は、日本の伝統的なデザインを背景に、アスリートたちの活躍を期待したい。

競技場を彩るグラフィックや会場サイン、公式ライセンス商品などのデザインの母体になるコアグラフィックス。これをベースにチケットもデザインしている
競技場を彩るグラフィックや会場サイン、公式ライセンス商品などのデザインの母体になるコアグラフィックス。これをベースにチケットもデザインしている
十二単(ひとえ)のように異なる色を重ねて美しい色調を作る手法が「重ねの色目」
十二単(ひとえ)のように異なる色を重ねて美しい色調を作る手法が「重ねの色目」

(写真提供/公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)