米グーグルの日本法人グーグル(東京・渋谷)は、スマホを操作中に瞬間的に物が買いたくなり、商品を見つけ、購入まで終わらせる消費行動を「パルス消費」と名付けた。同社はさらに調査を進めた結果、パルス(買いたい気持ち)の発生と実際の購入時期との間に時間差があることを突き止めた。
従来の手法が通用しない新しい購入決定プロセス
スマートフォンの普及とテクノロジーの発展により、消費者の行動に大きな変化が起きている。その1つがグーグルが2019年6月に発表した「パルス消費」だ。ここでいう「パルス」とは、消費者の中に突如として湧き上がる「買いたい気持ち」のこと。つまりパルス消費とは「スマホを操作しているときに、突発的に買いたい気持ちが高まり、商材を発見した瞬間に購入の意思を固める」という消費行動を意味する。グーグルによると、パルス消費は普段購入しているような商品に対しても見られるという。そのため非日常的な買い物行動で、趣味性の高い商品を購入するような従来の「衝動買い」とは一線を画すとしている。
興味・関心から比較検討、購入へと至る過程で、段階的に買いたい気持ちが醸成されていく「ジャーニー型消費行動」の購入決定プロセスが当てはまらない点も、パルス消費の大きな特徴だ。AIDMA(アイドマ、Attention、Interest、Desire、Memory、Action)やAISAS(アイサス、Attention、Interest、Search、Action、Share)といった従来モデルとは全く異なる。グーグル コンシューマーマーケットインサイトチーム リサーチ部門統括 (日本/ 韓国)の小林伸一郎氏は「ジャーニー型消費行動のモデルでは説明できないさまざまな消費行動があると感じたから」と、パルス消費の調査を始めたきっかけを語る。
普段スマホをいじりながら、ふと思い出したようにECサイトに飛んで購入ボタンをタップしたり、記事などを読んでいて、そこに登場する商品が欲しくなって“ぽちっ”と――そんな経験をしたことのある人も多いだろう。グーグルによると、今の人々は買う直前まで知らなかった名前の商品を購入するのにためらわなくなっている他、ECサイトにアクセスした時点で具体的にどの商品を買うか決めていなかったり、スマホ閲覧中に偶然知った商品を購入することに躊躇(ちゅうちょ)しなくなったりしているという。人はスマホを手にしたことで、「24時間すべてが買い物のタイミング」となり、欲しい気持ちが高まれば、一気に購入まで終わらせてしまう……。
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