東京地下鉄(東京メトロ)は銀座線渋谷駅の混雑状況をカメラ映像から解析し、車内ディスプレーに表示する実証実験を2020年1月23日から行っている。混雑状況の見える化に役立てるほか、システムを開発した三菱電機は人の流れの可視化を様々なビジネスにつなげようと考えている。

銀座線車内で表示される混雑状況の例。混雑度は3段階(青、緑、赤)で表示される
銀座線車内で表示される混雑状況の例。混雑度は3段階(青、緑、赤)で表示される

混雑レベルの表示を「3段階」にした理由

 地下鉄銀座線に乗車していると、車両ドアの上にあるディスプレーに渋谷駅の混雑状況が表示された。そこには各所にある改札、エスカレーター、階段が、現在どれだけ混雑しているかが、「」「」「」と人のマークを組み合わせた3段階で示されている。これを見れば、「スクランブルスクエア方面改札が混雑しているから、空いている明治通り方面改札から出よう」とか、「銀座線渋谷駅構内が混んでいるので、一駅手前の表参道駅で半蔵門線に乗り換えて渋谷駅に向かおう」といった判断に役立つ。

 混雑状況のデータは、渋谷駅に設置されたセキュリティーカメラの映像を自動解析して算出している。データは表参道駅、上野駅、浅草駅停車時に更新される。実証実験の段階だが、混雑解消の一助になりそうだ。

20年1月に開業した銀座線渋谷駅の新駅舎
20年1月に開業した銀座線渋谷駅の新駅舎
改札や階段などの混みぐあいを乗車中に知ることができる(写真/湯浅英夫)
改札や階段などの混みぐあいを乗車中に知ることができる(写真/湯浅英夫)

 東京地下鉄 経営企画本部 ICT戦略部 ICT戦略担当 課長補佐 舟木輝貴氏は「銀座線渋谷駅が新しくなり、人の流れが一変すると考え、スムーズに利用してもらうために実証実験を行うことを旅客営業担当と決定した。混雑情報を配信することで、乗客に混雑を避けようと動いてもらえるかどうかを確かめたい。乗客が駅の混雑状況をいつ、どこで、どういうときに知りたいと考えているのかといった知見も得たい」と狙いを語る。

 映像の自動解析技術を用いて、駅の混雑状況を車内で表示するのは全国初だという。問題は、車内ディスプレーには次の停車駅や路線図など、表示しなければならない情報が数多くあり、混雑状況の情報を長時間表示できないことだ。混雑状況をもっと細かく表示することはできるが、3段階にしたのは一目で分かるようにするためだ。

ディスプレーには様々な情報を表示する必要がある(写真/湯浅英夫)
ディスプレーには様々な情報を表示する必要がある(写真/湯浅英夫)

 東京地下鉄 経営企画本部 ICT戦略部 ICT戦略担当の井上一成氏は「車内ディスプレーでの表示時間が約10秒と短いため、あまり細かく表示しても伝わりにくい。混雑しているかしていないのか簡潔に伝えるために3段階表示とした」と説明する。10秒程度では見逃してしまうこともあるだろう。混雑状況の見える化に関する実証実験の第2弾として、20年3月30日から日立製作所の技術提供により、銀座線渋谷駅乗り換え連絡通路付近の状況を専用WEBサイトと東京メトロアプリで配信する。

人の流れの把握がマーケティングにつながる

 車内での混雑表示では、三菱電機が開発した電車内に多様な情報を配信する「トレインビジョン」を活用している。三菱電機 交通事業部 交通部 交通第一課長の長柄隆博氏は「東京地下鉄と三菱電機の共創による実証実験の1つ。三菱電機は様々な技術と事業のシナジーを活かした統合型ソリューションの提供を戦略としている。今回はセキュリティーカメラ、混雑状況の解析技術、トレインビジョンという3つの技術を掛け合わせたもので、6つの組織が力を合わせて取り組んでいる」と話す。

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