NTTドコモは2020年3月18日、5Gの商用サービスについて発表した。5G対応スマートフォンや、実質的な“使い放題”の新料金プランに加え、各種の関連サービスを紹介した。ただし、エリア展開は「まだまだ」という印象。ビジネスの現場での新用途の創出を支援し、そこに活路を見いだそうとしている。

NTTドコモは20年3月18日、5Gの商用サービスを3月25日に開始すると発表。5Gの料金プランやスマートフォン、サービスなどを発表した
NTTドコモは20年3月18日、5Gの商用サービスを3月25日に開始すると発表。5Gの料金プランやスマートフォン、サービスなどを発表した

ネットワーク整備は高速大容量通信を重視

 20年春に5Gの商用サービスを開始するとしていたNTTドコモが、いよいよ詳細を発表した。20年3月25日に5Gサービス開始する。先行して発表していたソフトバンク(関連記事:ソフトバンクが「5G」を開始、2年間は4Gと同じ料金で)の2日前倒しとなる。

 NTTドコモ社長の吉澤和弘氏は「5Gは社会のデジタルトランスフォーメーションを進め、『新たな価値の創出』と『社会課題の解決』を実現する太い柱になる」と定義した。その普及のために大きく4つの取り組みを進めると話す。

 1つ目はネットワーク。5G用に割り当てられた3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯の3つの周波数帯をフルに活用し、高速大容量通信ができる5Gネットワークを積極展開していく方針を示した。サービス開始当初のエリアは東京五輪の競技を開催する施設やドコモショップなど全国150カ所に限定されるものの、当初予定より2年弱前倒しして整備を進める。2022年3月末には全国2万局の基地局を整備するとしている。

5Gの基地局はサービス開始当初は150カ所にとどまるが、当初予定を2年弱前倒しして2022年3月末には2万局を整備する。画像はNTTドコモがオンライン公開した発表会の様子から抜粋したもの
5Gの基地局はサービス開始当初は150カ所にとどまるが、当初予定を2年弱前倒しして2022年3月末には2万局を整備する。画像はNTTドコモがオンライン公開した発表会の様子から抜粋したもの

 ソフトバンクは4Gの周波帯を5Gに活用することで広範囲をカバーする計画を打ち出したが、NTTドコモはコストをかけてでも、5Gの周波数帯を用いた基地局を拡大することで、高速大容量通信に強いネットワーク整備を進めるとしている。

 そうした5Gネットワークの特徴が生かされているのが料金プランだ。NTTドコモは5Gのサービス開始に合わせて「5Gギガホ」「5Gギガライト」の2つの料金プランを提供する。このうち大容量通信ができる5Gギガホは、4G向けの「ギガホ」の料金に500円を追加した月額7650円(各種割引を適用しない場合)で、100GBのデータ通信ができる。

 注目すべきは、そのデータ容量だ。5Gギガホの契約者に対しては、サービス開始当初から当面は「データ量無制限キャンペーン」を実施し、データ通信を使い放題にする。正式プランではなく、あくまでキャンペーンの措置で、期限は明らかにしていない。ただ同社は「ネットワークにかかる負荷を見極める」と説明しており、負荷の影響が大きくなければ、今後データ通信の使い放題が正式なプラン内容となる可能性もありそうだ。

 データ通信使い放題のプラン導入を見送ったソフトバンクと異なり、NTTドコモが使い放題を実現できたのには、大容量通信を重視したネットワーク整備の方針が影響しているといえるだろう。

「5Gギガホ」は月当たりの通信量が100GBだが、当面はキャンペーンにより無制限で利用できるという
「5Gギガホ」は月当たりの通信量が100GBだが、当面はキャンペーンにより無制限で利用できるという

ハイエンドスマホとMRグラスで先進性をアピール

 2つ目はデバイスだ。NTTドコモは5Gのサービス開始に合わせ、5Gに対応したスマホ7機種とWi-Fiルーター1機種を用意している。

 同社が提供する5Gスマホのラインアップは、韓国サムスン電子の「Galaxy S20」「Galaxy S20+」「Galaxy S20+ 5G Olympic Games Edition」、シャープの「AQUOS R5G」、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia 1 II」、韓国LG電子の「LG V60 ThinQ 5G」、そして富士通コネクテッドテクノロジーズの「arrows 5G」。いずれも性能が高く先進的な機能を持つハイエンドモデルだ。

NTTドコモは5Gでハイエンドモデルを重視した方針を取る。ソフトバンクが販売を見送った「Xperia 1 II」も販売されるようだ
NTTドコモは5Gでハイエンドモデルを重視した方針を取る。ソフトバンクが販売を見送った「Xperia 1 II」も販売されるようだ

 そしてもう1つ、NTTドコモが用意した特徴的なデバイスが、MR(複合現実)ゴーグルの「Magic Leap 1」である。Magic Leap 1は一般消費者向けではなく、MR技術を活用したい企業や、XRコンテンツのクリエイターなどに向けて販売する形になる。

スマホだけでなくMRゴーグルの「Magic Leap 1」も投入。5GとMRを活用したビジネスやコンテンツを手掛ける法人やクリエイター向けに提供されるという
スマホだけでなくMRゴーグルの「Magic Leap 1」も投入。5GとMRを活用したビジネスやコンテンツを手掛ける法人やクリエイター向けに提供されるという

 NTTドコモはかねてより5G時代に向け、スマホをハブにしてさまざまな先端デバイスを接続することで、新しい体験を提供する「マイネットワーク構想」を打ち出している。Magic Leap 1はそのマイネットワーク構想に基づいたデバイスの第1弾となる。基本的に法人向けの提供にはなるものの、5GとMRを活用した先進的なコンテンツやビジネスの実現に向けた大きな取り組みとなることは確かだろう。

 こうした一連の取り組みから、NTTドコモは5Gで先進的なデバイスを積極投入することで、「新たな価値の創出」に5Gの高速大容量通信を積極活用しようとしている様子がうかがえる。