高級食パン店のプロデュースなどを手掛けるジャパン ベーカリー マーケティング(JBM、横浜市)は、山陰地方の活性化を狙って開店した鳥取市の直営店「もう言葉がでません」を2020年2月、地元企業の葡萄家(鳥取市)に譲渡した。もともと地元企業に任せる方針を掲げており、開店後約3カ月で早くも相手先が決まった。

譲渡の記者会見があった2020年2月14日はバレンタインデーだったため、ジャパン ベーカリーマーケティング(JBM)は新規開発した限定チョコレート食パンを300人に無料で配布した。甘くない、ビターな味わいが特徴だ
譲渡の記者会見があった2020年2月14日はバレンタインデーだったため、ジャパン ベーカリーマーケティング(JBM)は新規開発した限定チョコレート食パンを300人に無料で配布した。甘くない、ビターな味わいが特徴だ

 ジャパン ベーカリー マーケティング(JBM)は「考えた人すごいわ」といったユニークなネーミングで知られる、主に高級食パン店のコンサルティングを多数、手掛けてきた。JBMの岸本拓也社長はJリーグ「ガイナーレ鳥取」のトップと知り合った縁で公式スポンサーになり、山陰地方の自然や人々にも魅力を感じたという。そこで地元の活性化を目的に2019年11月8日に高級食パン店「もう言葉がでません」を初の直営店としてスタート。当初から「地元企業が運営してこそ地元が盛り上がる」と岸本氏の理念に共鳴する相手先を募っていた。

 葡萄家はフランチャイジーとして鳥取市内を中心に飲食業などの事業を展開。その一環として「もう言葉がでません」に開店前から注目しており、高級食パン店の事業は初めてだったが、すぐに申し込んだという。

譲渡契約を交わしたJBMの岸本拓也社長(左から2人目)と葡萄家の山根一利社長(右から2人目)。葡萄家はファミリーによる経営スタイルが特徴で、そうした点にも岸本社長が共感した
譲渡契約を交わしたJBMの岸本拓也社長(左から2人目)と葡萄家の山根一利社長(右から2人目)。葡萄家はファミリーによる経営スタイルが特徴で、そうした点にも岸本社長が共感した
限定のチョコレート食パンを求め、多くの顧客が並んでいた
限定のチョコレート食パンを求め、多くの顧客が並んでいた

 「地元の活性化のためには、大手のショッピングモールに入るのではなく、個人店の面白さを打ち出したいと思っていた。そこで開店後は地元企業に運営を任せようとキャンペーンを打った。すると開店前に、いち早く葡萄家の山根一利社長から声をかけていただいた。地元を何とか盛り上げたいと互いの理念が一致しただけでなく、ファミリーで運営している経営スタイルなどにも共感した。譲渡というより、これからも一緒になって推進していきたい」と岸本氏は言う。

 葡萄家の山根社長も「地元で生まれ育った者として、風土や人間性を生かして事業を展開し、山陰の地に根付かせていきたい。岸本社長が以前から表明していた鳥取県の米子や島根県の松江、出雲にも今後、出店していく」と話す。従業員も、そのまま譲渡先に移籍するという条件でもともと採用していた。

 今回の譲渡に当たり、JBMはガイナーレ鳥取の公式スポンサーを継続し、葡萄家も公式スポンサーになる方針。譲渡の契約書を交わした20年2月14日はバレンタインデーであり、譲渡記念も兼ねてJBMが開発した限定チョコレート食パンを300人に無料で配布した。当日は店舗の周囲を大勢の顧客が並んで取り巻くほどの人気ぶりだった。

 岸本氏がプロデュースしてきた高級食パン店「考えた人すごいわ」や「乃木坂な妻たち」、「もはや最高傑作」などは、いずれも行列のできる店になっており、高級食パン店ブームを引き起こした。この勢いが地方の活性化にどこまでつながるのか。今回の譲渡によってどこまで加速するのか。高級食パン店の新たな可能性を追求する岸本氏に今後も目が離せない。

ガイナーレ鳥取の公式スポンサーとなったJBMは、サッカースタジアムで高級食パンを使った「パン祭り」といったイベントも企画している
ガイナーレ鳥取の公式スポンサーとなったJBMは、サッカースタジアムで高級食パンを使った「パン祭り」といったイベントも企画している
監督の胸にも「もう言葉がでません」の文字が躍る
監督の胸にも「もう言葉がでません」の文字が躍る

(写真提供/ジャパン ベーカリー マーケティング)