自動運転技術ベンチャーのZMP(東京・文京)は2020年2月、全日本空輸(ANA)や成田国際空港会社と共同で、空港ターミナルビル内を巡回する1人乗り自動運転カート「RakuRo(ラクロ)」の実証実験を行った。低速であることから技術的なハードルは比較的低いといい、20年5月の出荷に向けて受注を始めている。

ZMP(東京・文京)が開発した1人乗りカートを使い、成田国際空港で自動運転の実証実験が行われた
ZMP(東京・文京)が開発した1人乗りカートを使い、成田国際空港で自動運転の実証実験が行われた

 2020年2月27日と28日の2日間、成田国際空港第1ターミナルビル内を、見慣れない銀色の1人乗りカート「ラクロ」が自動走行した。開発したのは自動運転技術ベンチャーのZMPだ。「1人乗りロボ」の位置付けで、前面は顔のようなデザイン。周囲の人に対して、「こんにちは」「右に曲がります」「道をお譲りください」「ありがとうございます」など、音声メッセージを発しながら走行できる。

 今回の実証実験は、出国審査場から搭乗口まで、足の不自由な障害者や高齢者、荷物が多い人などを送り届けることを想定して行われた(実際に乗り込んだのは関係者のみ)。

広範囲の障害物を検知

 乗り込んでからタッチパネルで行き先を設定すると、自動で走行ルートを設定。歩くのとほぼ同じ時速4.5キロメートル程度でゆっくりと自動走行し、搭乗口で乗客を降ろすと無人状態で出発地点へと戻る仕組みだ。カメラで前方や後方の障害物を感知し、左右どちらかに回避もできる。実験では通路に立ち止まっている人をよけるシーンが実演された。直前で急旋回するのではなく、手前から緩やかに進路を変更する様子を確認できた。かなり広範囲の障害物を感知しているようだ。

進路を塞いでいる人を認識し、緩やかに曲がって回避する様子が、実証実験では確かめられた
進路を塞いでいる人を認識し、緩やかに曲がって回避する様子が、実証実験では確かめられた

 自動運転で欠かせない「自己位置の推定」はどうやって行っているのか。屋内ではGPSを受信できないため、レーザーセンサーであるLiDAR(ライダー)を用いているという。このセンサーで周囲の障害物を感知し、高精度3Dマップと照合。位置を確認する仕組みだ。そのため、事前に3Dマップの情報を作製しておくことが必要になる。実証実験では3時間ほどかけて情報を取得し、マップを生成したという。

 今回の実証実験では、一般の人々が行き交う環境で認識や回避を行えるかが焦点だったが、「きちんと回避ができており、大きな課題は見つからなかった」(ZMPロボライフ事業部の岩野紘昌マネージャー)という。ZMPは自動運転タクシーの公道実験なども手掛けており、「低速なぶん、ラクロの方が実用化へのハードルは低い」(岩野マネージャー)。

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