ラストワンマイルを埋める次世代モビリティとして期待される電動キックボード。その利便性はいかほどか。2019年10月にWind Mobility Japan(東京・港)が始めた電動キックボードの個人向けレンタルサービスに加入し、いち早く日常生活の中で使い倒してみると、普及への課題も見えてきた。果たして日本で電動キックボードは、はやるのか?

Wind Mobility Japanでレンタルした電動キックボードは、身軽で短距離の移動には便利(写真/青柳真紗美)
Wind Mobility Japanでレンタルした電動キックボードは、身軽で短距離の移動には便利(写真/青柳真紗美)

 世界で流行している電動キックボードのシェアリングサービス。日本でいち早くサービスを始めたのが、ベルリン発のスタートアップ、Wind Mobilityだ。日本法人のWind Mobility Japan(以下Wind)は2019年3月にさいたま市の浦和美園駅周辺でシェアリングサービス「WIND」の実証実験を開始。続いて7月には、千葉市の幕張エリアでも同様のサービスをスタートし、着々と実績を積み上げている。

 そして、10月には電動キックボードを個人でレンタルできるサブスクリプションサービスを発表。実際に日本で電動キックボードを試せるということで、さっそく申し込んだ。利用料金は月額1万円(税込み)。自賠責保険料や故障時のメインテナンス費、盗難時の補償費用も含まれる。

公道を走るには、免許とヘルメットが必要

 筆者の自宅に電動キックボードが届いたのは、2020年の1月下旬。玄関で受け取りを済ませ、まず直面したのが保管場所の問題だ。海外で電動キックボードに乗ったことはあったので大体のサイズ感は知っていたが、いざ目の前に置かれてみると大きい。

 さらに困るのが充電だ。充電には家庭用コンセントが必要だが、Windの電動キックボードはもともとシェアリングサービスを前提に設計されていることもあり、バッテリーを取り外すことができない。マンション住まいだと、必然的に本体ごと室内に持ち込んで充電するしかないのだ。結局、筆者は廊下の片隅にシートを敷いて、その上で保管することにした。

 改めて眺めてみると、この電動キックボードには海外で乗った電動キックボードにはなかった装備が付いている。最も目立つのはナンバープレート。というのも、電動キックボードは日本では原付き(第一種原動機付き自転車)扱いとなるため、車両登録と自賠責保険への加入が必要になるのだ。さらにバックミラーと警音器も追加で設置されていた。公道を走るときはヘルメットをかぶり、免許証(普通自動車免許や原動機付き自転車免許など)を携帯する必要がある。

 1回の充電で走行できる距離は、乗る人の体重や走る道のアップダウンにも左右されるが、100%充電した状態でWindのアプリ上には45キロメートルと表示された。上り坂を含む道を6キロメートルほど走った後で、バッテリー残量は70%。少なくとも往復20キロメートル程度は走れそうだ。

Windの電動キックボード。車体のサイズ感はBirdやLimeなど、他社のものとほぼ同じだ
Windの電動キックボード。車体のサイズ感はBirdやLimeなど、他社のものとほぼ同じだ
日本の公道を走るためナンバープレートを装備する
日本の公道を走るためナンバープレートを装備する
隣に置いた人力のキックボードは大人も乗れる頑丈なものだが、Windの電動キックボードと並べると大きさの違いは歴然
隣に置いた人力のキックボードは大人も乗れる頑丈なものだが、Windの電動キックボードと並べると大きさの違いは歴然
バッテリー上部に専用充電器のプラグを挿し込んで充電する。バッテリーの取り外しはできない
バッテリー上部に専用充電器のプラグを挿し込んで充電する。バッテリーの取り外しはできない

 自宅で数時間充電し、さっそく街へ出てみることにした。操作方法は至ってシンプルだ。右グリップ部にあるレバーがアクセル。ただし、停止状態でアクセルレバーを押し込んでも何も起きない。暴走防止のため、自分の足で地面を蹴って勢いをつけてからアクセルレバーを押すことで、モーターが作動する仕組みになっている。これはWindだけでなく、BirdやLimeをはじめとした世界中のほとんどの電動キックボードに共通する操作方法だ。

 ブレーキは前輪、後輪と分かれていて、前輪ブレーキをかけるときは左グリップ部にあるレバーを親指で押し込む。後輪ブレーキはタイヤカバーを踏んでタイヤを止める方式となっており、慣れないと、とっさにブレーキをかけるのは難しい。

 ただ普通に走る分には操作は決して難しくなく、Windが行った実証実験でも、「10代から70代まで、多くの方に試乗してもらったが、ほとんどの方が1回で問題なく乗れた」(Wind Mobility Japan シニアオペレーションマネージャーの上原健氏)という。

緑色のレバーがアクセル、赤色はブレーキ。中央の丸い液晶にスピードが表示される
緑色のレバーがアクセル、赤色はブレーキ。中央の丸い液晶にスピードが表示される
前輪にモーターを内蔵。サスペンションも付いている
前輪にモーターを内蔵。サスペンションも付いている
後輪ブレーキはタイヤカバーを踏み込む方式
後輪ブレーキはタイヤカバーを踏み込む方式