コカ・コーラシステムは、2020年3月9日から天然水「い・ろ・は・す」を100%リサイクルペットボトルで販売すると発表した。使用済みペットボトルを再生し、飲み終わった後はまた新しいペット容器になる「ボトルtoボトル」の取り組みだ。業界に先駆けて全国での販売をスタートする。

日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ社長。2020年3月3日に開かれた発表会はコロナウイルスの感染対策としてライブ配信された
日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ社長。2020年3月3日に開かれた発表会はコロナウイルスの感染対策としてライブ配信された

リサイクルペットボトルの最大の課題は透明度

 ボトルtoボトル(BtoB)とは、回収した使用済みペットボトルを約8ミリ角に裁断(フレーク化)し、それを新しいペットボトルの原料とする仕組み。この取り組みが加速すれば、容器の利便性を享受しつつ何度もペットボトルとして再生できる。日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ社長は「新たに天然資源を採掘する必要がなくなり、環境負荷を劇的に減らすことが可能になる」と、その意義を強調する。

ボトルto ボトルの仕組み
ボトルto ボトルの仕組み

 今回の取り組みで期待できるのは、石油から新規に製造されるプラスチックの削減だ。同社によると年間4116トン減らせるという(現行の555ミリリットルのペットボトルと比べた場合)。これは小型自動車4000台分の重さに相当する。また二酸化炭素の排出量は、一般的な石油由来のペットボトルと比べて49%削減できるとしている。

 現在、ペットボトルには3種類あるという。1つは石油由来のもの、次が一部に植物素材を使用したもの、3つ目が一度使用したペットボトルを回収・再生して使用するリサイクルペットボトルだ。ほとんどのペットボトルは石油由来だという。

 これまでい・ろ・は・すでは、容器の3割にリサイクル素材(リサイクルPET樹脂や植物由来PET樹脂)を使用してきた。リサイクルペットボトルは透明度を高めるのが難しく、容器の色調に課題があった。同社技術本部労働安全衛生・環境サスティナビリティガバナンス部の柴田充部長は、「透明度にはとことんこだわって開発した。天然水という(透明度において)最もハードルの高い商品から手掛けることで、他のブランドにも転用できる基準になる」と話す。

発表会に登壇した日本コカ・コーラ技術本部労働安全衛生・環境サスティナビリティガバナンス部の柴田充部長とブランドアンバサダーの土屋太鳳
発表会に登壇した日本コカ・コーラ技術本部労働安全衛生・環境サスティナビリティガバナンス部の柴田充部長とブランドアンバサダーの土屋太鳳

2030年までに100%サステナブル素材に

 日本コカ・コーラによると国内のプラスチック製品使用量におけるペットボトルの割合は6%。現状でも98%以上がリサイクルされており、欧米に比べても圧倒的に高い。コカ・コーラは「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」のグローバルビジョンを掲げており、日本コカ・コーラでは30年までにすべてのペットボトルをリサイクル素材に切り替え、そのうちBtoBの割合を90%にするとしている。18年は17%だったBtoB率は19年に21%に拡大、22年には50%を目標にしている。

 ビジョン実現に向け、設計・回収・パートナーの3本の柱を立てた。回収に関しては30年までに販売したボトルや缶の量と同等量の容器を回収し、リサイクルすることを目指す。ガルドゥニョ社長は柱の一つであるパートナーの重要性についても指摘した。「私たちが描く廃棄物ゼロ社会というビジョンは大変野心的なもの。実現には同じビジョンを共有するパートナーの存在が不可欠。顧客、財団、政府当局、同業他社、何より消費者との連携が必要」。ペットボトルを適切に分別する消費者行動があってこそ、SDGs(持続可能な開発目標)は実現できるといえる。

(写真/北川 聖恵、写真提供/日本コカ・コーラ)


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