楽天モバイルは2020年3月3日、携帯電話の事業者として本格的なサービスを展開するにあたり、正式な料金プランを発表した。月額2980円で自社回線内のデータ通信が使い放題、300万人を対象に1年間は無料提供するとした。同社の成功の鍵は、基地局整備が不十分という批判をいかに解消するかに尽きる。
料金プランは1つ、2980円で使い放題
楽天モバイルは19年10月に携帯電話事業へ参入したものの、基地局整備の大幅な遅れが影響し、人数を絞った「無料サポータープログラム」として、無料で通信サービスを提供してきた。非常に限定的なサービス提供にとどまっているのが現状だ。
そんな同社が20年3月3日、正式サービス開始に向けた発表会を実施し、20年4月に本格サービスを開始すると明らかにした。新型コロナウイルスの影響で、発表会の会場には報道陣を入れず、インターネット中継のみとなった。この発表会の中で楽天の会長兼社長の三木谷浩史氏は、正式な料金プランの特徴について「世界の主要な携帯電話会社で、唯一のワンプラン」と話した。
一般に、携帯電話の料金プランといえば、条件に合わせて多数の選択肢があり、複雑であることが多い。三木谷氏はプランを1つだけに絞ったシンプルさで勝負に出るという姿勢を示したのだ。
その料金プランが「Rakuten UN-LIMIT」である。これは月額2980円で、楽天モバイルの自社回線エリア内であればデータ通信、及び「Rakuten Link」というアプリを使った音声通話やSMSが制限なく利用できることが特徴となる。
ただし楽天モバイルの自社回線がない場所では、提携しているKDDIの回線にローミングする「パートナーエリア」となり、パートナーエリアでデータ通信をする場合は月当たりの上限が2GBと大幅に制限される。またRakuten Linkを使わずに通話をした場合も、一般的な30秒当たり20円の料金がかかる点に注意が必要だ。
また66の国や地域での国際ローミングも可能で、その場合もデータ通信は月当たり2GB、Rakuten Linkを経由した国内への音声通話はかけ放題となる。海外へ通話する場合は、「国際通話かけ放題」の適用により、月当たり980円での定額通話が可能になる。
そしてもう1つ、三木谷氏が明らかにしたのが、Rakuten UN-LIMITの契約者300万人を対象に、1年間月額料金を無料で提供(1人当たり1回線まで)することだ。契約者にはRakuten Linkを利用しはじめることを条件として、事務手数料3300円相当を全額楽天スーパーポイントで還元する。
20年6月30日までにオンラインで申し込んだ人に対しても、3000ポイント(1ポイント=1円相当)を付与する。大胆な料金プランと大盤振る舞いというべき施策で、一気に加入者を増やして携帯電話市場でのシェアを拡大しようというわけだ。
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