凸版印刷が、アートの視点を取り入れた事業展開を目指している。アートと最先端テクノロジーを組み合わせてイノベーション創出に結び付け、新しい市場を開拓する狙い。京都大学と組んで共同研究を2022年4月まで展開する。また、アートの視点を幹部社員向けの研修制度に取り入れる。

土佐尚子氏のアート作品「Sound of Ikebana(サウンドオブ生け花)」。音圧で跳ね上げた流体をハイスピードカメラで撮影・制作する。四方に飛び散った流体がつくる不思議な模様の一瞬をアートにした(写真提供/凸版印刷)
土佐尚子氏のアート作品「Sound of Ikebana(サウンドオブ生け花)」。音圧で跳ね上げた流体をハイスピードカメラで撮影・制作する。四方に飛び散った流体がつくる不思議な模様の一瞬をアートにした(写真提供/凸版印刷)

 「共同研究では、アートを活用した効果的な空間演出手法を体系化・構築していくことで、新しい価値を創造できる技術を開発していく。研修ではアーティストの創造プロセスを応用した新しい事業開拓の手法やブランディングの手法を確立し、新しい価値を創造できる人材育成につなげる」と、凸版印刷の情報コミュニケーション事業本部ソーシャルデザイン事業部ソーシャルイノベーションセンター先端表現技術開発本部長の鈴木高志氏は話す。

 共同研究は19年5月~22年4月の約3年をかけ、京都大学大学院総合生存学館特定教授の土佐尚子氏と推進する。

凸版印刷の先端表現技術開発本部長の鈴木高志氏(左)と京都大学大学院総合生存学館特定教授の土佐尚子氏
凸版印刷の先端表現技術開発本部長の鈴木高志氏(左)と京都大学大学院総合生存学館特定教授の土佐尚子氏

 メディアアーティストでもある土佐氏は、音圧で跳ね上げた流体をハイスピードカメラで撮影・制作するアート作品「Sound of Ikebana(サウンドオブ生け花)」で知られる。四方に飛び散った流体がつくる不思議な模様の一瞬を、アートとして捉えた。自然界に存在する、肉眼では見えない瞬間的な物理現象がつくる形状に日本的な美しさがあり、「日本美」と表現している。

 また、アートやカルチャー、テクノロジーの知識を兼ね備えた人材や組織がイノベーションを起こす「アートイノベーション」の考え方も提唱。このためには「物理現象としての美を発見するアーティスト」「発見した美を数式化する学者」「数式化された美をコンピューターでデータ化する技術者」の3者による連携が重要になるという。凸版印刷と共同研究を推進することで、アートの新たな面が出てきそうだ。

 「目指すのは、アートの社会実装にある。先が読みにくく混乱している時代にあって、今後はアートとビジネスをつなぐことで、新しい価値を創造できるようにしていきたい。これは日本だけのトレンドではなく、世界的な流れになっている」(土佐氏)

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