渋谷フクラスの屋上広場で開始した「AIR FINDER」は、ランドマークや街角に設置されたカメラを使って記念撮影できるサービスだ。施設の集客に役立つほか、AI(人工知能)による画像解析などと組み合わせることでマーケティングツールや広告媒体としても役立つという。
渋谷フクラス18階屋上広場の高い場所に4Kカメラが設置されている。「AIR FINDER」を使うと、そのカメラをスマートフォンで遠隔操作して記念撮影し、写真をダウンロードできる。広角カメラで、背景に渋谷スクランブル交差点から遠く新宿の高層ビル群まで入った記念写真が撮れる。
AIR FINDERはNTTコミュニケーションズと日建設計の協業によるもので、NTTコミュニケーションズとパナソニックによるカメラシェアリングサービス「PaN」がベースになっている。PaNは店舗やイベント会場など、主に屋内に設置されたタブレットやカメラで記念撮影ができるサービスだ。AIR FINDERは屋外に設置されたカメラをスマホで操作して撮影するところが大きな違いになる。操作はすべて利用者のスマホで行うので、施設側が操作用の端末を設置する必要はなく、カメラを設置できればよい。
日建設計は、どんな写真を撮れるようにするかなどの空間演出を担当した。日建設計クライアント・リレーション&ソリューション部門ソリューショングループ ダイレクター アーキテクトの坂本隆之氏は渋谷フクラスのデザインに深く関わり、この建物の魅力をよく知る人物だ。狙ったのは、来場するきっかけをつくり、来場者にSNSなどで魅力を発信してもらうことだ。
「商業施設に来てもらうためには、そこに行くきっかけづくりと、そこで体験したことを発信して広めてもらうための工夫が必要。想定しているユーザーだけでなく、潜在的なユーザーにアピールして来てもらうためにも、そうした工夫が重要になる」と坂本氏は語る。
屋上広場にカメラを設置し、渋谷フクラスの特徴である屋上庭園「SHIBU NIWA」、渋谷のランドマークであるスクランブル交差点、新宿の高層ビル群が入るようにした。これはSNSなどで写真を見た人が、どこで撮った写真なのか、すぐ分かるようにするためだ。
「サービスを提供する側としては、どこで撮った写真なのかを分かってもらえないともったいない。屋上にカメラを設置したのは、そこが記念撮影をしたくなるような場所だからであり、高い位置にカメラを設置したのは自撮りでは撮れない写真が撮れるから。渋谷フクラスの場所としての魅力と、その屋上で記念撮影するという体験の魅力の両方が伝わるようにした。“撮りたい”という気持ちをどうつくり出すかにこだわった」(坂本氏)
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