キリンビールは2020年2月20日、新しいノンアルコールビールテイスト飲料「グリーンズフリー」を発表した。新技術でノンアルの常識だった香料、糖類、人工甘味料を無添加にしたのが特徴。同社はノンアルコール飲料ではなく、「自然派ビールテイスト炭酸飲料」という新カテゴリーを掲げる。

2020年3月31日に発売する「グリーンズフリー」
2020年3月31日に発売する「グリーンズフリー」

縮小するビール類市場で拡大するノンアル市場

 キリンビールによると、ビール類飲料市場は2009年から10年間で80%に縮小した一方で、ノンアルコール飲料は320%の成長市場という(インテージSRI調べ。ノンアルコール飲料出荷数量推移)。アルコールを控える世界的な潮流もあり、各国のアルコールメーカーのトップもノンアルコール飲料への注目度を高めており、各社投資を拡大している重要なカテゴリーだととらえている。そこで20年はノンアルコール飲料目標を前年比121.9%の390万ケースに設定し、同市場の活性化を目指す。

 09年の「キリンフリー」発売で市場が広がったノンアル飲料だが、当時の「飲んでも運転できる」だけでなく、アルコールの飲めない場面でも「ビールのようなうまみを楽しみたい」というようにニーズが変化してきている。そこで一番搾り製法を採用した「零ICHI」を発売。さらに健康意識からビールを避ける人に向けた「カラダFREE」を投入した。今回、あえてノンアルコールと呼ばずに自然派ビールテイスト炭酸飲料とうたう背景には、成長しつつも浸透しきれていないノンアルのジレンマがあった。

 キリンビールの山形光晴・マーケティング部長は、「09年当初の代替飲料というイメージはいまだに根強く、消極的イメージが浸透している。ノンアルコールの枠を超えた新しいカテゴリーとして売り出すことで、積極的な飲用へ変えていきたい」と述べる。

 開発に際して、無糖炭酸飲料の人気と無添加に対する関心の高まりに着目した。これまでのノンアル製造では、麦汁由来の独特の香気を目立たせないよう香料・糖類・人工甘味料を使用するのが常識だった。新製品は一番搾りや淡麗グリーンラベルでの製法などキリンビールの製造技術を結集し、無添加で作ることに成功した。ビールテイストにこだわったのは、「ビールがもたらす報酬感を求める人は多く、まだ体験したことのない若い人にも体験を広めていきたい」という思いがあるからだ。

 既に3種類のノンアル製品を抱えるキリンビールの新しいビールテイスト飲料が、他の製品とうまくすみ分けられるのか、具体的なシーン訴求に成功できるかがカギとなる。

キリンビールの山形光晴・マーケティング部長(右)
キリンビールの山形光晴・マーケティング部長(右)

(写真/北川聖恵)