日本コカ・コーラは2020年2月18日、炭酸カテゴリーの戦略発表会を開催した。コカ・コーラは東京2020オリンピック限定パッケージで開幕前から五輪ムードを盛り上げ、同時に新規顧客開拓の施策も展開。ファンタはフルーツ炭酸から離脱した30~40代向けのプレミア価格商品を導入する。

ファンタ初の大人向け製品「ファンタ プレミアグレープ」(希望小売価格は380ミリリットルで税別150円)
ファンタ初の大人向け製品「ファンタ プレミアグレープ」(希望小売価格は380ミリリットルで税別150円)
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 ファンタは初の大人向けフルーツ炭酸飲料「ファンタ プレミアグレープ」を2020年3月2日から全国で発売する。収穫後24時間以内に絞った果汁と濃厚なピューレを使用し、果汁13%とこれまでのファンタ製品で最も高濃度なのが特徴だ。価格は税別150円で、ボトルサイズは380ミリリットルと定番である「ファンタ グレープ」の500ミリリットル(税別140円)よりも小さい。“プレミアム”な高級志向ゆえ、量より質を明確に打ち出す。

 コカ・コーラシステムによると、フルーツ炭酸の市場規模は15年以降縮小しているという。炭酸飲料市場は高炭酸や無糖炭酸が人気で、新製品やリニューアルで各社しのぎを削る成長カテゴリーだ。しかし日本コカ・コーラマーケテイング本部炭酸&エナジーカテゴリーバイスプレジデントの島岡芳和氏は、「フルーツ炭酸は炭酸飲料自体をおいしく楽しく飲みたいニーズに密接につながる市場なので、なんとか活性化していきたい」と主力ブランドであるファンタに懸ける思い述べる。

 フルーツ炭酸不況の要因として、カロリーや甘さを嫌って30~40代が離脱している点を踏まえながらも、「価値を認めたものにはしっかりお金を払う」「大人でも15時以降は甘いものが欲しくなる」「疲労がたまってリフレッシュしたいときなどのデザート需要がある」の3つの共通嗜好性を強調する。今回ぜいたくな素材を使った大人向けファンタを投入することで、共通嗜好性のほうをプッシュする考えだ。

 事前の消費者調査では同社新製品の平均を大きく上回る評価を得たという。「今は炭酸を飲まない、炭酸を飲むがファンタを飲まなくなったなど、炭酸嫌いでなければすべての人にアプローチできる商品」と島岡氏は新製品に自信を持つ。

CMにはターゲット層に支持される松田龍平と永山瑛太を起用し、「ファンタとの再会」を描く
CMにはターゲット層に支持される松田龍平と永山瑛太を起用し、「ファンタとの再会」を描く
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東京2020は10代へアピール

 東京2020に向けては、各国での知見から五輪の開催直前にならないと盛り上がらないことが分かっているとのこと。そこで特にオリンピック・パラリンピックへの関心が高い10代に向けて一体感をアピールし、開催数カ月前から機運を盛り上げる施策を取る。

 手売りチャネルでは全50種の競技デザインボトルを販売する。各競技の代表が発表されるタイミングを見計らい、ツイッター上で該当競技のボトルデザインを紹介し、購買意欲を高める。同社の主要販路である自販機チャネルでは、特殊な印字技術により、ラベルの一部がめくれてリストバンドになるボトルデザインを採用する。そのラベルを持って各地の聖火リレーイベントに参加すると、先着100人にシリコン製のリストバンドをプレゼントするなど、商品と五輪とのつながりを意識させる仕掛けで盛り上がりを持続させる狙いだ。デジタルアプリの「コーク・オン」とも連動させる。

 五輪関連以外では、通年の新規顧客開拓施策として家庭外での飲用シーンを訴求する。「コークミックス」は、コカ・コーラを使った見た目にも映えるさまざまなメニューを展開し、飲用機会の創出を図る。単身世帯の増加に合わせて19年に導入した1人向けの350ミリリットル、2人向けの700ミリリットルのペットボトルについては好調に推移しているそうで、島岡氏は「今後は個別にSKU(商品管理の最小単位、品目)が異なる時代がやってくる。それぞれのニーズに合わせたラインアップをそろえていきたい」と語る。

ラベルがリストバンドになることを説明する、日本コカ・コーラマーケテイング本部炭酸&エナジーカテゴリーバイスプレジデントの島岡芳和氏
ラベルがリストバンドになることを説明する、日本コカ・コーラマーケテイング本部炭酸&エナジーカテゴリーバイスプレジデントの島岡芳和氏
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(写真/北川聖恵、写真提供/日本コカ・コーラ)

■変更履歴
記事タイトルを「コカ・コーラ 果汁13%、濃厚な“高級ファンタ”で大人狙い」から「コカ・コーラ 果汁13%、濃厚なファンタ プレミアグレープ発売」に変更しました[2020/3/16 12:00]