イケア・ジャパン(千葉県船橋市)は米国の音響機器メーカーSonos(ソノス)と共同開発したWi-Fi(無線LAN)スピーカー「SYMFONISK/シンフォニスク」を2020年2月1日に発売した。人気メーカーがひしめくスピーカー市場に家具と音響、両社の強みを掛け合わせた商品で挑む。

「シンフォニスク」はテーブルランプWi-Fiスピーカー付きモデル(2万4990円・税込み)と、ブックシェルフ型Wi-Fiスピーカー(1万4990円・税込み)の2種類を用意。カラーバリエーションはいずれもブラック・ホワイトから選べる
「シンフォニスク」はテーブルランプWi-Fiスピーカー付きモデル(2万4990円・税込み)と、ブックシェルフ型Wi-Fiスピーカー(1万4990円・税込み)の2種類を用意。カラーバリエーションはいずれもブラック・ホワイトから選べる

場所を選ばず家のどこでも音楽を楽しめる

 イケアが家具やインテリアの知見を生かしたデザインを手掛け、そこにソノスの音響に関する技術と経験を注ぎ込んだのが「シンフォニスク」。スウェーデン語でシンフォニー=交響曲を意味する。音声認識機能は搭載していないが、ソノスが発売しているマイク搭載モデルと連携すればAmazon Alexaでの操作が可能。2020年内にはGoogleアシスタントにも対応する予定だ。

 スピーカーとスマホなどの再生デバイスとの接続はBluetoothではなく無線LAN。そのためストリーミング再生中の音楽の途切れや遅延、中断がなく、再生デバイスを持った人が部屋を離れてもそのまま音楽を楽しめる。

 タイプはテーブルランプ型とブックシェルフ型の2種類。テーブルランプ型は音響機器と照明機器を1つにまとめることで機器やコードの数を減らし、家の中をすっきりとした空間にすることを目指した。一方、ブックシェルフ型は縦でも横でも使用でき、別売りの専用アクセサリーを使えば壁に取り付けたり、イケアのキッチンレールに掛けたりすることも可能だ。

ブックシェルフ型だけに本棚にもすっきり収まる
ブックシェルフ型だけに本棚にもすっきり収まる
ブックシェルフ型をイケアのキッチンレールに取り付ければ、調理中でもより高音質で音楽を楽しめる
ブックシェルフ型をイケアのキッチンレールに取り付ければ、調理中でもより高音質で音楽を楽しめる

 イケアは17年にスマートホーム事業のさらなる拡充を目指し、ソノスとの提携を発表した。イケア・ジャパンコアエリアマネージャーの志村紗理氏は「イケアはホームファニッシングの知識は大変豊富だが、サウンドに関しては新しい分野への挑戦だった。一方のソノスはサウンドを家の中に溶け込ませる新しい方法を模索していた。いうなれば相思相愛の関係だった」と振り返る。

「ソノスとは相思相愛の関係だった」とイケア・ジャパンコアエリアマネージャーの志村氏
「ソノスとは相思相愛の関係だった」とイケア・ジャパンコアエリアマネージャーの志村氏

 イケアでは「より快適な暮らしを実現するものは何か」を追求するため、毎年、数千人を対象にした調査を実施している。実際に顧客を訪問して直接ニーズをヒアリングすることもあるという。その中でプライバシーを確保するために必要なことを調査した結果、「好きな音楽を聴くこと」という答えが60%に上ったという。イケア・ジャパンコマーシャルアクティビティ&イベントリーダーの早雲美菜氏は「シンフォニスクはそういった方々のニーズを満たしてくれるアイテム」と自信をのぞかせた。

イケア・ジャパンコマーシャルアクティビティ&イベントリーダーの早雲氏
イケア・ジャパンコマーシャルアクティビティ&イベントリーダーの早雲氏

Wi-Fi活用でより良い音楽環境を提供

 ソノスのアプリを使えば、シンフォニスクで50種類以上の音楽ストリーミングサービスやポッドキャストなどで好きな曲やプログラムを聴くことができる。またソノスのサウンドバー「Beam」(5万1480円・税込み)やワイヤレスサブウーファー「Sub」(8万9980円・税込み)を2台のシンフォニスクと組み合わせれば、5.1chサラウンドシステムで映画などが楽しめる。

 シンフォニスクを複数の部屋に設置すれば、好きな曲やコンテンツを各部屋で聴くことができ、アプリを使って音量などの調整や設定も可能だ。ソノス・ジャパンカントリージェネラルマネージャーの瀬戸和信氏は「ソノスはマルチルームシステムのテクノロジーで成長してきた会社。Wi-Fiを使ってユーザーにより良い音楽環境を提供していく」と話す。

「より良い音楽環境を提供していく」と話すソノス・ジャパンカントリージェネラルマネージャーの瀬戸氏
「より良い音楽環境を提供していく」と話すソノス・ジャパンカントリージェネラルマネージャーの瀬戸氏

 発表会ではイケアプロダクトデザインデベロッパーのステーパン・ベーギチ氏とソノスシニアプロダクトマネージャーのサラ・モリス氏がトークセッションを行った。ベーギチ氏はシンフォニスクについて「テーブルランプとしてだけでも素晴らしい家具。その中にスピーカーが隠れている。1つのアイテムで2つの機能を有する。そして非常にスマートで置き場所を見つけるのが簡単。どんな家にもなじむことができるアイテムだと自負している」とコメント。

イケアプロダクトデザインデベロッパーのベーギチ氏(写真右)とソノスシニアプロダクトマネージャーのモリス氏(同左)
イケアプロダクトデザインデベロッパーのベーギチ氏(写真右)とソノスシニアプロダクトマネージャーのモリス氏(同左)

 完成に至るまでには多くのプロトタイプを作り、どの形状がベストなのか効率性を十分検討したという。優れた音質・スタイリッシュな見た目という軸はぶらさず、両社が持つ知見とテクノロジーを生かして完成にこぎ着けた。「低価格で高音質のスピーカーを完成させられたのはイケアとコラボしたから」とモリス氏。今後のコラボ展開については「この事業に大きな投資をしている。今回限りではないことを伝えておく」と語った。

 シンフォニスクは19年8月から既に欧州・北米で発売しており、各国で好評を博しているという。「欧米では音楽をサブスクで聴くのが当たり前のスタイルになってきている。日本でもこのような波が来ると信じている。そうなったとき、ソノスがリードするような形で関わっていきたい」(瀬戸氏)と意気込む。

壁に掛ければワンルームの部屋でも場所を取らずに設置でき、実用的なシェルフ(棚)としても使える。AirPlay2にも対応している
壁に掛ければワンルームの部屋でも場所を取らずに設置でき、実用的なシェルフ(棚)としても使える。AirPlay2にも対応している

(写真/中山 洋平、写真提供/イケア・ジャパン)

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