花王は頭皮ケアに特化した新ヘアケアブランド「ines(イネス)」を2020年3月28日に発売する。シャンプーとトリートメント4製品はいずれも3000円(税別)で、花王のヘアケア製品では最高価格となる。高価格帯が台頭するヘアケア市場でも女性の頭皮ケアは男性を追い抜く注目カテゴリーだ。

2020年3月28日に新発売する花王の“スカルプ美容エキスパートケア”「ines」
2020年3月28日に新発売する花王の“スカルプ美容エキスパートケア”「ines」

頭皮ケアは好調の「スモールマス」

 花王が注力する対象顧客を絞った「スモールマス」戦略で、ヘアケアブランドでの攻勢を続けている。17年「メリット PYUAN」の投入を皮切りに、18年「GUHL LABORATORY」、19年5月に「and and」、10月に「エッセンシャルflat」と立て続けにブランドのリニューアルや新ライン、新ブランドを発表した。

 いずれも想定価格900円(税別)以上で、ボリューム価格帯(800円未満)が主流の花王で、手薄だった高価格帯製品(800円以上のプレミアム価格帯、1400円以上のハイプレミアム価格帯)として注目された(関連記事「花王が高価格の新商品 香りの組み合わせで“自己実現女子”狙い」)。新発売のイネスもハイプレミアム価格帯の3000円で、同社のヘアケア剤としては最高価格だ。

 花王が高価格帯ブランドを相次いで投入する背景には、ヘアケア市場における同価格商品の台頭がある。同社によると今やプレミアム価格帯とハイプレミアム価格帯製品で市場の約半数を占めるという。花王ヘアケア事業部ブランドマネジャーの仲田実沙希氏は、「自己実現ニーズの高まりで、好きなものにはお金をかけてもいいと考える消費者が増加している」と分析する。気に入ったものに自己投資する意識は、2000年に比べ16年には2倍に上昇しているという(野村総研生活者1万人アンケート日本人の価値観・消費行動の変化調べ)。

花王ヘアケア事業部ブランドマネジャーの仲田実沙希氏
花王ヘアケア事業部ブランドマネジャーの仲田実沙希氏

 オンラインチャネルでも高単価の付加価値アイテムの構成比は拡大傾向にある。中でも頭皮ケアのアイテムの存在感が増している。花王によれば頭皮ケアの店頭販売での平均単価が541円なのに対し、オンラインでは1162円と2倍以上にもなるとのこと(インテージSRI・SCI調べ 期間:19年1~12月)。イネスも主な販路をECに設定し、CMを打たずにデジタルを中心に訴求する。

 頭皮ケアといえば育毛・発毛訴求が多いが、ヘッドスパ専門店や美容院のスカルプ(頭皮)メニューの増加でこの分野に対する女性の意識が高まっている。実際、スカルプケア製品は15年に女性用市場が男性市場を追い抜き、それ以降は女性用が上回っている。「頭皮をほぐせば顔のむくみが取れたり、血行がよくなり顔色まで良くなる」という効果から、美容の一環で取り入れる女性が多いという。

スキンケアのように頭皮ケアを

 イネスは頭皮に関する悩みを「頭皮のコリ・こわばり」「毛穴の汚れ・べたつき」「頭皮・髪のニオイ」「頭皮の乾燥・カサつき」の4つに分類。2種類のシャンプーとトリートメントを組み合わせたり、いつも使っているヘアケア剤にプラスしたり、特に悩みがひどいときにだけ置き換えたりと柔軟な使い方を提案する。同一シリーズでそろえるように訴求するのが一般的なヘアケア剤では珍しい「臨機応変型」だ。

 仲田氏は「スキンケアでは悩みに合わせて美容液だけ加えたり、スイッチしたりする。頭皮は顔ともつながっており、スカルプケアを生活に取り入れやすいようにした」と、あえて単品使いも提案する。

ブルターニュ産海塩を含む「海塩スクラブ」など、ハイプレミアム価格帯ならではの天然素材を各製品に配合した
ブルターニュ産海塩を含む「海塩スクラブ」など、ハイプレミアム価格帯ならではの天然素材を各製品に配合した

(写真/北川 聖恵)


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