コラボモデルを通してブランドの技術力を知ってもらう

 オンキヨーがコラボモデルを手掛ける理由について、亀井氏は「1つは、オンキヨーというブランドによる訴求が通用しない層にリーチするため」と説明する。

 その好例が18年に販売したパイオニアブランドのハイレゾ対応イヤホン「SE-CH3T」だ。“マモホン”と名付けられた同モデルは、人気声優の宮野真守とコラボしたもので、価格は税込み・送料込みで6000円。左側のハウジングに「MA」、右側のハウジングに「MO」とレーザー彫刻されており、“マモポーチ”と名付けられたポーチが付属する。

 「宮野さんのファンの多くは女性なので、高性能をうたっても刺さらない。親しみを持ってもらうために“マモホン”と名付けてポーチを付けた」(亀井氏)

2018年6月に発表された通称マモホン(SE-CH3、現在は販売終了) (c)Himawari Theatre Group Inc./KING RECORD CO., LTD.
2018年6月に発表された通称マモホン(SE-CH3、現在は販売終了) (c)Himawari Theatre Group Inc./KING RECORD CO., LTD.

 もう1つの成功例は、架空の武道である“戦⾞道”の全国大会で優勝を目指す女子高校生たちの奮闘を描いたテレビアニメ「ガールズ&パンツァー」(以下、ガルパン)とのコラボだ。同作品のオリジナルサウンドトラックは人気が高く、東京フィルハーモニー交響楽団によるオーケストラコンサートも定期的に開催されている。

 ガルパンファンのコア層は50歳前後のミリタリー好きで、テクノロジーへの関心が高い。そこでオンキヨーではハイレゾスマホ「GRANBEAT」をベースに、「ガールズ&パンツァー 劇場版」とコラボした「DP-CMX1 GUP」をリリースした。IV号戦車H型(D型改)のレーザー刻印を本体背面に施した同モデルには専用ケースが付属し、オーケストラ演奏によるハイレゾ⾳源(5曲)も収録されている。販売価格は税込み・送料込み9万9900円と、コラボモデルとしては最高価格帯ながら大ヒットとなった。

ガルパン関連のさまざまなコラボモデル (c)GIRLS und PANZER Projekt/GIRLS und PANZER Film Projekt/GIRLS und PANZER Finale Projekt
ガルパン関連のさまざまなコラボモデル (c)GIRLS und PANZER Projekt/GIRLS und PANZER Film Projekt/GIRLS und PANZER Finale Projekt

 アニメ作品とのコラボはまずコラボ作品ありき。作品を決めたらファンイベントやライブに足を運び、男女比、年齢層などからコアなファン層を見極める。「男性ファンはコラボモデルでも音を聴いて納得しないと買わない。女性ファンは値段とデザインが決め手」と亀井氏。コラボのベースとなるモデルには、コアなファン層に刺さるモデルが選ばれる。アニメのキャラクターが製品を身に着けている描き下ろしイラストをパッケージに採用し、製品本体に専用の機械でレーザー彫刻を施してベースモデルと差異化するのがオンキヨー流だ。

 オンキヨー、パイオニアブランドのオーディオ公式ショップ「ONKYO DIRECT」には、コラボモデルを目当てに多くの人が訪れる。「コラボモデルをきっかけにオンキヨー製品に興味を持ってもらえれば、市販モデルの販売にもつながる」と亀井氏。技術力に定評のあるオンキヨーだが、アニメとのコラボはその技術力を知ってもらうためのブランディング戦略といえる。

(写真提供/オンキヨー)