日経クロストレンドは、インターネット視聴率データを提供するニールセン デジタル(東京・港)の協力を得て、2019年の動画サービス視聴動向を調査した。YouTubeが利用者数、視聴時間とも圧倒的な強さを見せ、Amazon プライム・ビデオが婚活サバイバル番組の人気で視聴者を増やした。

 ニールセン デジタルは国内8000人のiOSおよびAndroidのスマートフォン視聴率モニターを組織し、インターネットの利用状況をモニターしている。調査対象としたのは、無料コンテンツが中心の「AbemaTV」「GYAO!」「ニコニコ動画」「TVer」「YouTube」、有料コンテンツが中心の「Amazon プライム・ビデオ」「DAZN」「dTV」「Hulu」「Netflix」の計10サービス。各動画のスマホアプリの月間利用者数および月間視聴時間を推計した(※スマホアプリ以外の利用者、視聴時間は含まない。データは2019年1~10月)。

動画スマホアプリの月間平均利用者数推計
動画スマホアプリの月間平均利用者数推計

 19年の動画アプリ月間平均利用者数トップはYouTube。前年比10.1%増の4297万7000人だった。またユーザー1人当たりの月間平均視聴時間も465.0分で他を圧倒。前年の433.4分から7.3%伸びた。通常、利用者数が増えると、コアなファンの割合が減ってライトユーザーが増えるため、平均の視聴時間は減少に転じやすい。ところがYouTubeは利用者数も1人当たりの平均視聴時間も前年比プラスという強さを見せた。

 HIKAKINや東海オンエアといった人気YouTuber発の動画コンテンツが引き続き多数再生されたほか、19年2月に藤田ニコル、5月に辻希美、夏菜、9月に速水もこみちといった有名タレントのチャンネル開設も相次いだ。11月末にはZOZO創業者の前澤友作氏も開設し、20年元日に投稿したお年玉企画は300万回再生されている。YouTubeの伸びしろはまだ十分ありそうだ。

YouTubeを除く動画スマホアプリ月間平均利用者数の推移
YouTubeを除く動画スマホアプリ月間平均利用者数の推移

 月間平均利用者数でYouTubeに続く2位争いは激戦だが、その中で頭一つリードしたのがAmazon プライム・ビデオ。19年は594万2000人で、前年比52.7%増と大きく伸ばした。次いで前年比62.7%増とAmazonプライムを上回る伸びを見せたGYAO!。この他、伸び率ではNetflixも45.9%増と利用者を大幅に増やしている。

動画スマホアプリの1人当たり月間平均視聴時間の推計
動画スマホアプリの1人当たり月間平均視聴時間の推計

 ユーザー1人当たりの月間平均視聴時間では、264.1分のNetflixと240.7分のAmazon プライム・ビデオが競り合う展開。両サービスとも1人当たり視聴時間は前年比微減だが、映画やドラマなど長編の作品を鑑賞するスタイルが定着していることから、視聴時間で優位に立っている。中でも人気コンテンツになっているのが恋愛リアリティーショーだ。

恋愛サバイバル番組は今も昔も鉄板コンテンツ

Amazon プライム・ビデオは「バチェラー・ジャパン」の人気で好調<br>(C)2019 Warner Bros. International Television Production Limited. All rights reserved.
Amazon プライム・ビデオは「バチェラー・ジャパン」の人気で好調
(C)2019 Warner Bros. International Television Production Limited. All rights reserved.

 Amazon プライム・ビデオで人気コンテンツといえば、若くして成功を収めた独身男性のパートナーの座をかけて20人の女性が競い合う婚活サバイバル番組「バチェラー・ジャパン」。米国で国民的人気番組になっている「The Bachelor」のローカル制作版で、国内3シリーズ目(シーズン3)が配信された19年9~10月は、ネタバレを含むWebニュース記事が飛び交う盛り上がりを見せた。20年は独身女性が主役となって多数の男性候補からパートナーを選び抜く“逆バチェラー”作品の放映も予定されていて、話題を集めそうだ。

 Netflixも、かつてフジテレビで放映していた恋愛バラエティー番組「あいのり」「テラスハウス」の新シリーズを配信して人気を集めている。無名の一般男女の恋愛模様を観察するコンセプトは、1980~90年代の「ねるとん紅鯨団」、70~80年代の「ラブアタック!」「プロポーズ大作戦」などの番組が人気を博してきた。時代を超えて若者を夢中にさせる鉄板コンテンツがテレビから動画にシフトしているのは興味深い。

 なおAbemaTVは、データでは利用者数、1人当たり視聴時間とも前年比減となっている。AbemaTVも同様に「オオカミちゃんには騙されない」などの恋愛リアリティーショーが人気だが、それらの番組の中心視聴者層は他社より若い10代女性で、同社は「今や女子中高生(15~19歳の女性)の3人に2人が見ている」を宣伝フレーズにしているほど。視聴者が特定層に集中している場合、老若男女を網羅したモニター調査では把握しづらい可能性がある。

 1人当たり視聴時間の伸び率では、前年比31.1%増のHuluも健闘した。19年4月から半年間放送された日本テレビ系ドラマ「あなたの番です」は、マンション住民の誰かが毎週殺害されるミステリーで、放送のたびに「あな番」がトレンドワードに上がって“犯人予想”がSNS上で繰り広げられた。Huluではその見逃し配信に加え、登場人物に焦点を当てたオリジナルストーリー「扉の向こう」も配信したことが、視聴時間の伸びに貢献した。