キリンビバレッジが2020年1月23日に開いた新年度事業方針説明会で、20年は好調の午後の紅茶と20周年の生茶の2ブランドに資源を集中することを明らかにした。天候不順に泣いた19年の清涼飲料業界で唯一、プラス成長をみせた同社の成功の要因となった統合マーケティングをさらに強化する。

2020年は好調の「午後の紅茶」と20周年の「生茶」に資源を集中し、無糖・微糖、デカフェ商品に注力する
2020年は好調の「午後の紅茶」と20周年の「生茶」に資源を集中し、無糖・微糖、デカフェ商品に注力する

過去最高更新の午後ティーと20周年の生茶を主軸に

 2019年、天候不順などで清涼飲料の販売量が業界全体で対前年約98%と落ち込む中、キリンビバレッジは前年比101%と堅調に推移し、2期連続で過去最高を達成した。業績をけん引したのは30~40代女性を狙って19年3月に発売した微糖の「午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」と、同年6月にリニューアルした「午後の紅茶 おいしい無糖」(関連記事「“甘い”先入観を裏切る深田恭子で『午後の紅茶』離れを防げ!」)。午後の紅茶シリーズだけで前年比9%増となる、過去最高の5540万ケースを売り上げた。

 紅茶系の無糖・微糖が伸びたことに加え、大容量のペットボトルコーヒー「ファイア ワンデイ ブラック」が年間7200万本を突破したこともあり、20年は無糖・微糖を訴求し、「摂りすぎない健康」をブランド体系構築の柱に据える。さらに20周年を迎える「生茶」と勢いのある午後ティーの主軸2ブランドに資源を集中し、マーケティングを強化することを明らかにした。

3月に新発売する「午後の紅茶 ザ・マイスターズ オレンジティー」
3月に新発売する「午後の紅茶 ザ・マイスターズ オレンジティー」

 キリン、小岩井乳業、協和発酵バイオが共同開発したプラズマ乳酸菌入り飲料「iMUSE(イミューズ)」の無糖水を投入し、「プラスの健康」も訴求する。19年はファンケルにも出資しており、キリンビバレッジの堀口英樹社長は、「20年中には何らかの具体的な提案をしたい」と健康カテゴリーの拡充を図る。

キリンビバレッジの堀口英樹社長(左)と、山田雄一マーケティング部長
キリンビバレッジの堀口英樹社長(左)と、山田雄一マーケティング部長

20年は初めて販売計画に天候不順を織り込む

 一方、20年の販売目標は清涼飲料合計でプラスマイナスゼロ、生茶は9%増ながら好調な午後ティーは1%増とする控えめな数値に設定した。その理由は天候不順。堀口社長は「天候不順はもはやリスクではなく当たり前のこととして織り込むべきだ。それを考慮した数字になっている。五輪需要も期間中は見込めるが、終了後まで長期的に考えればプラスマイナスゼロになると判断した」と述べる。

 業界で唯一、成長した要因については「明確なマーケティング戦略」と堀口社長は言い切る。マーケティング、営業、生産が部門横断で取り組んだ統合マーケティングが奏功したとみる。20年はブランドの存在意義を打ち出すことで消費者の共感を狙う「パーパス・ブランディング」に力を入れる。同社マーケティング本部の山田雄一マーケティング部長は、「昔は機能性、提供ベネフィットが選択基準だったが、ブランドが存在している理由、立ち居振る舞いへの共感性が基準になってきている」と、消費者の選択基準の変化に対応するマーケ戦略だと話す。今後は各商品のブランド・パーパスに沿ったコミュニケーションを展開していく。

(写真/北川聖恵)


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