戦績に加え、SNSやYouTubeを使った情報発信などファンを増やし、オリジナルグッズの販売も好調なプロeスポーツチーム「Rush Gaming」。「コール オブ デューティ」(CoD)シリーズの大会なども取材する筆者が同チームの西谷麗CEOに取材した。西谷氏の願いは「eスポーツ界の“錦織圭”を送り出すこと」だ。

西谷 麗(にしたに うらら)氏
2010年慶応義塾大学経済学部卒業。英国系ゲーム会社のPlayfishに日本支社立ち上げ第1号社員として参画。プロダクトマネジャー、ゲームプロデューサー、データアナリストなどを経て、ゲーム分野を中心にマーケティング代行やコミュニティー・マネジメントを請け負うWekidsを創業。Rush GamingのCEOも務める

 eスポーツへの注目の高まりを受け、プロeスポーツチームも次々に立ち上がっている。その一方で、多くがファンの拡大、収益源の確立に課題を抱えている。

 そんな中、オリジナルグッズの販売などで着実に足元を固めているのがプロeスポーツチームのRush Gamingだ。PlayStation4向けゲーム「コール オブ デューティ」(CoD)シリーズを中心に活動し、多くのファンを持つ人気チームに成長した。2019年8月にラフォーレ原宿に期間限定で出店したポップアップショップでは、1週間で150万円を売り上げたことでも話題を集めた(詳細は関連記事参照)。

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 同チームCEOの西谷氏は「Rush Gamingはスタートアップ」と言い切る。西谷氏はそもそもなぜプロeスポーツチームの経営に踏み切ったのか。

『CoD WWII』を用いてリーグ戦形式で争われた2018年のプロ対抗戦、第4戦を戦うRush Gaming
『CoD WWII』を用いてリーグ戦形式で争われた2018年のプロ対抗戦、第4戦を戦うRush Gaming

メルカリ・山田CEOの会社でキャリアをスタート

 起業家を親に持つ西谷氏は「もともと長く会社勤めをするビジョンを持ち合わせていなかった」という。

 大学を卒業後、現・メルカリCEOの山田進太郎氏が01年に起業したウェブベンチャー企業、ウノウに新卒で入社。その後、米エレクトロニック・アーツ傘下のソーシャルゲーム会社Playfishの現地社員第1号として日本法人立ち上げに携わる。そこで4年ほど勤務して独立。フリーランスを経て14年にゲーム分野でマーケティング代行やコミュニティー・マネジメントを請け負うWekids(ウィキッズ、東京・渋谷)を創業した。

 西谷氏に一貫していたのは、「人の才能の開花に携わり、世の中に役立つ仕事がしたい」という思いだ。

 それがRush Gaming発足につながるのは、現在のチームの“顔”ともいえるGreedZz(グリード)選手がWekidsでアルバイトをするようになったことがきっかけだ。当時は『コール オブ デューティ ブラックオプス3』(CoD:Black Ops3)の最盛期。大学生だったGreedZz選手はRush Gamingの前身となったチーム「Rush CLAN esports部門」の一員として活動し、全国1位など輝かしい成績をおさめていた。「私は知らなかったけれど、その時点でGreedZzのYouTubeチャンネル登録者は2万人くらいいた」と西谷氏は話す。

 とはいえ、当時のGreedZz選手にはまだプロプレーヤーになる確固とした意思はなく、就職先に悩んでいたという。一方の西谷氏もeスポーツチームを運営する考えはなかった。「前職でゲームメーカーのマーケティングに携わっていたため、eスポーツに注目はしていた。でも、日本では時期尚早とみていた」(西谷氏)。

Rush CLAN時代から“Rush”のアイコンとしてチームをけん引するGreedZz選手
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