テレワークで「職住融合」が進む

 東京オリンピック・パラリンピックに向けて国がテレワークを推進してきたこともあり、働く場所が多様化しつつある。それに合わせて住まい選びにも変化が起きている。そこで住まい領域が掲げるキーワードが「職住融合」だ。テレワークをきっかけに自宅を仕事に適した環境に整える「家なかオフィス化」や、街中のコワーキングスペースを活用する「街なかオフィス化」が進みつつある。さらに生活する「街選びの自由化」の兆しが見え始めているという。

 住宅・不動産サイト「SUUMO」の池本洋一編集長は、「テレワークの浸透が住まいに影響を与えている。リビングの一角にガラスで仕切った小部屋を作り、リビングの様子を見ながらビデオ会議ができるワークスペースとしたり、納戸をワークスペースにしたりといった動きがある」と話す。

テレワークをきっかけに、自宅に仕事向けの環境を整える人が多い
テレワークをきっかけに、自宅に仕事向けの環境を整える人が多い
テレワーク向けに、リビングの一角や納戸をワークスペースにする人が増えている
テレワーク向けに、リビングの一角や納戸をワークスペースにする人が増えている

 住宅事業者側にも新築時にワークスぺースを設けるプランを提案したり、賃貸住宅をリノベーションしてワークスペースを設けたりといった動きがある。共用部をワークスペース化したマンションや、シェアオフィス付きの賃貸住宅なども登場している。

 テレワークをきっかけに都心から郊外へ引っ越しする動きも出ている。趣味を楽しめる環境や育児に向いた環境を求め、テレワークができる企業に転職する人もいるという。引っ越し先としては、コワーキングスペースがあり、駅周辺でほとんどの用事が片付き、出勤が必要なときは座って通勤できる、そうした立地の地方都市の人気が高まっているそうだ。

テレワークを取り入れ、さらに引っ越しをした人は、家族との時間が増えたことや趣味の時間が増えたことにメリットを感じている
テレワークを取り入れ、さらに引っ越しをした人は、家族との時間が増えたことや趣味の時間が増えたことにメリットを感じている

 このほか自動車の領域では「らしさCAR」がキーワードだ。20代を中心に若者ほど自動車を自己表現のツールとして捉える傾向があるという。スペックや価格で選ぶのではなく、自分らしさを反映した持ち物、自分が居心地よく過ごせる空間など、自分らしさを表現する手段として自動車を選び、カスタマイズする人が増えている。

 進学の領域では社会環境のVUCA(ブーカ=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)化を背景に、有名大学に入って大企業に就職するといった従来の価値観から離れ、自分のやりたいことを重視し、ワクワクするモチベーションを大切にした「ワクモチ進路」を選ぶ子供が増えると予測する。自分のなりたい姿を明確に持ち、夢の実現に向けた努力をいとわず、進路選びに情熱を持った子供が年々増えつつあるという。

 これまで“一体”として考えられていた料理とサービスを切り離し、低価格で本格フレンチを提供する飲食店、車選びは自己表現を大事にし、大学選びではブランドにとらわれない――。さまざまな分野で従来の「当たり前」からの脱却の兆しが見えてきた。今後は既成概念にとらわれず、長年の慣習と思われている部分を大胆に見直すことが、ビジネスの成功につながる道なのかもしれない。

(画像提供/リクルート)


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