2019年は相次ぐ自然災害で苦境を強いられた清涼飲料業界。アサヒ飲料は2020年1月20日の事業方針説明会で、ウィルキンソンや三ツ矢サイダーなど炭酸飲料の重点訴求を明らかにした。豆乳を用いた新ブランドやカルピス新製品も発売。主力ブランドで収益基盤を強化し、新価値で顧客拡大を目指す。

20年3月には「ウィルキンソン タンサン」「ウィルキンソン タンサン レモン」のラベルをリニューアル。「THANK YOU」と英語表記でインバウンド訴求も狙う
20年3月には「ウィルキンソン タンサン」「ウィルキンソン タンサン レモン」のラベルをリニューアル。「THANK YOU」と英語表記でインバウンド訴求も狙う

ウィルキンソンはナンバーワン訴求で新規客開拓狙う

 アサヒ飲料の2019年販売実績は業界全体の平均を上回ったものの、「三ツ矢」「カルピス」「ワンダ」「十六茶」「おいしい水」「ウィルキンソン」の重点6ブランドのうち、ウィルキンソン以外は軒並み前年を割り込む苦戦を強いられた。19年7月の長雨や冷夏など、清涼飲料市場のかき入れ時に天候に恵まれなかったことや、春先の大型ペットボトルの値上げ、19年10月の消費増税なども足を引っ張った。アサヒ飲料の岸上克彦社長も「消費者を取り巻く環境が大きく変化した」ことを市場全体の落ち込み要因に挙げる。

 そんな中、炭酸飲料で48%のトップシェアを記録したウィルキンソンは前年比121%と好調だった。同社によると炭酸飲料は飲料全体で2番目に大きい分野(インテージSCI調べ。2018年11月~19年10月<容量>ベース)。大越洋二常務執行役員マーケティング本部長は、ウィルキンソンが圧倒的シェアを獲得できた理由を「炭酸飲料の最大ニーズである刺激の強さがウィルキンソンの訴求点。それが消費者にきちんと届いたから」と分析する。20年はウィルキンソンをナンバーワンブランドとして訴求し、既存客のロイヤルティーを高め、新規客の開拓にもつなげる。「ラベルにナンバーワンを記載することで、インバウンド客へのアピールにもなる」(大越氏)

炭酸飲料で48%のトップシェアを記録したウィルキンソンは前年比121%と好調だった
炭酸飲料で48%のトップシェアを記録したウィルキンソンは前年比121%と好調だった
2020年事業方針説明会に出席したアサヒ飲料の岸上克彦社長(右)と、大越洋二常務執行役員マーケティング本部長(左)
2020年事業方針説明会に出席したアサヒ飲料の岸上克彦社長(右)と、大越洋二常務執行役員マーケティング本部長(左)

 136年目を迎える三ツ矢サイダーも前年比減とはいえ容量ベースで99.2%と健闘しており、購入率は年々増加しているという。東京五輪・パラリンピックを意識し、歴史の古さをベースに“国民的炭酸飲料”として存在感を打ち出す。20年は社長や社員が店頭に立って訴求するイベントを約2倍の1400店舗で実施したり、全都道府県の小学校へ出前授業をしたりするなど、年間328万人に向けたサンプリング施策を打つ。これらのプロモーション強化により、有糖炭酸、無糖炭酸、エナジードリンクを合わせた全炭酸飲料で1億箱を目指す。

無糖人気が高まる一方、甘い炭酸へのニーズを満たすため「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」を20年4月に新発売する
無糖人気が高まる一方、甘い炭酸へのニーズを満たすため「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」を20年4月に新発売する

植物性ミルク人気で豆乳製品 カルピスにも

 新価値創造にも力を入れる。アーモンドミルクや豆乳といった植物性ミルクを使用した飲料の人気の高まりを受け、豆乳を使用したミルクティーやソイラテを展開する新ブランド「PLANT TIME」を投入。さらに101周年を迎えるカルピスでも、豆乳をカルピス菌で発酵させた「GREEN CALPIS」を発売する。カルピスブランドで生乳以外の原料を使用するのは初めて。健康志向の高い40~50代女性がターゲットだが、ビーガンなど動物性を避ける消費者の需要も期待できる。

 大越氏は「19年はミルクティー飲料が伸長し、ユーザーは20~30代女性が高いウエートを占める。ペット入りカフェラテ飲料のニーズも高まっている。植物ミルクがプラスオンされた場合の興味も高かったため、提供価値があると判断した」と話す。節目の100周年に当たる19年実績が前年比減と「不本意」(大越氏)な結果に終わったカルピスだが、ブランドイメージや推奨意向はアップしているそうで、新製品で弾みを付けたい考えだ。

新ブランド「PLANT TIME」。女性向けの商品のため、女子美術大学とパッケージを共同開発しバッグへの入れやすさや握りやすさを工夫した
新ブランド「PLANT TIME」。女性向けの商品のため、女子美術大学とパッケージを共同開発しバッグへの入れやすさや握りやすさを工夫した

 岸上社長は「安定供給、物流の効率向上」を目的とした供給体制の強化についても言及した。SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)本部を設立し、さらにこれまで生産エリアを4ブロックに分けていたが、アライアンス契約工場を加え6ブロックに増やす。名古屋のアサヒビール工場や群馬工場などでも新ラインを設置するなど、なるべく運ばない物流を目指す。


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