“冬の時代”の“妄想”がプロ意識をつくった

―― 一般メディアでの露出が増えたりスポンサーが付いたりすると、人からプロとして見られる場面が増えてきます。ときど選手をはじめ格闘ゲームの選手からは高いプロ意識を感じます。

ときど 長く続けていればそうなっていくとは思います。ただ、格闘ゲーマーは“冬の時代”が長すぎたことも影響しているかもしれません。

 僕自身はあまり感じたことがないんですが、ゲームがeスポーツとして注目されるようになる前、ゲーセンで頑張っていた人たちの中には“妄想”せざるを得なかった人もいたと聞きました。ゲームが強いからゲーセンではすごく評価されるけれど、外ではゲームを一生懸命やっていることを言えない。ゲーセンで受ける評価と社会で受ける評価のギャップがありすぎて、「もし俺たちの世界がプロ野球だったら、ヒーローインタビューでかっこいいこと言えるのに」と妄想していた。そうしなきゃやってられなかったって。

19年9月に東京ゲームショウ2019の会場で開催された「CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア」の様子
19年9月に東京ゲームショウ2019の会場で開催された「CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア」の様子

――“冬の時代”というのは、ゲーセン内の評価と社会的な評価とのギャップがあった頃ということですか。

ときど そうです。それでもゲーセンが盛り上がっているうちは良かったんですよ。でもそれもどんどん減ってきて、新しい人も入ってこなくて、業界がシュリンクしていくというのは僕も感じていましたね。

――それが今、eスポーツの興隆で活躍の場ができたんですね。

ときど 当時のことが結果的に今の準備につながったというか。もしそういうときがきたらきちんとしなくちゃいけないと、僕はその人たちからたたき込まれました。だから他のジャンルのゲームに比べて、プロとして活動する準備ができていたんだと思います。

――ときど選手もその人たちの影響を受けて意識が高まったんですね。

ときど 高まりましたね。というか、僕はそういう人たちの美意識を潰すような戦い方をしていた時期がありました。当時は勝つことが優先と思っていたけれど、僕が「この人には勝てないな」と思ったのはそういう美意識を持ってプレーしている人たちの“流派”だったんです。「なぜ勝てないんだ」と考えたとき、そういう思いを背負っている人たちがいることが分かって。罪悪感もあったから、素直に言うことを聞こうと思ったんですよね。

※後編「プロゲーマー・ときどが語る スポンサー企業との関係性」に続きます。

(写真/志田 彩香〈ときど選手〉、木村 輝〈「CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア」〉)