2019年12月3日、国際連合が定めた「国際障害者デー」に、日本マイクロソフトは視覚に障害がある人を支援するアプリ「Seeing AI」の日本語版を提供すると発表した。売り上げ向上が狙いではなく、社会貢献や高度な技術力を示すために開発した。
「Seeing AI」は視覚に障害がある同社のプログラマーが中心になって開発し、17年に英語版をリリース。今回は日本語に加え、オランダ語やフランス語、ドイツ語、スペイン語にも対応するようにした。App Storeから無料でダウンロードできる。
8つの機能で対象を認識
備える機能は「短いテキスト」「ドキュメント(文書)」「通貨」「色」「ライト」「風景」「人」「製品」の8つ。これらが認識できる対象だ。例えば「短いテキスト」を使えば、看板やメニューなどの短い文字を音声で伝える。書類など長い文書の場合は「ドキュメント」を選択。書類がカメラに収まるように音声ガイドが流れ、文章を認識すると自動的に撮影し、読み上げる。
「通貨」を選べば、お札の種類が分かる。「色」は色を教え、「ライト」では明かりの有無に加え、明るさまで音声で伝える。「風景」では風景の様子を説明する。「人」を選ぶと、有名人は事前に登録しているため、名前を教える。家族や友人も登録でき、該当する人物を認識すると「〇〇さんが何メートル先にいます」などと伝える。「人」では写真も認識し、登録している人が写っていれば名前を教える。
「製品」は商品に付いているバーコードを認識し、どんな商品かを伝える。ただし現在の「製品」はすべての商品に対応しておらず、読み上げは英語になっている。データベースに登録される商品が増え、音声も日本語になれば、より使いやすくなるだろう。
「ドキュメント」「風景」「製品」はインターネット経由で使う。その理由は同社のAI(人工知能)である「Azure Cognitive Services」を利用しているからだ。「アプリではあるが、インターネット経由でCognitive Servicesにつながり、その結果がアプリに反映される」(日本マイクロソフトの大島友子プリンシパルアドバイザー)。
「社会貢献を狙ったアプリという側面だけではなく、マイクロソフトのAIを使えば、こんなことまで可能になるということを知ってもらいたいため」と大島氏は話す。
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