デザイン思考の手法を活用し、中高生などに学びの機会を提供している東京・目黒のCurio School(キュリオスクール)が、「Mono-Coto Innovation」と呼ぶコンテストの決勝大会を開催した。5チームが今回の決勝大会に進出。公開形式の最終プレゼンテーションに臨んだ。
「Mono-Coto Innovation」は2019年夏に予選大会があり、与えられたテーマに応じて200人・50チームの中高生がデザイン思考の手法でアイデアを競った。そのうち12月27日の決勝大会に進んだのは、アイデアが優秀と評価された5チーム。
テーマを出すのは中高生向けのマーケティングに関心のある企業。今回はライオンや本田技術研究所の他、設計会社のXrossVate(東京・港)、カシオ計算機、凸版印刷が参加し、各チームのアイデアを技術面から支援したり、メンターとなってアドバイスしたりした。
「今回参加した狙いは、Z世代と呼ばれる若者の動向を知りたいため」と企業の担当者は言う。Z世代とは主に2000年から10年の間に生まれた世代のこと。1980年代から90年代に生まれた、ミレニアル世代の「次」に相当する。生まれたときからインターネットやスマートフォンが当たり前のように存在する「デジタルネイティブ」の世代だ。
ライフスタイルもオンラインとオフラインの境界線がほとんど存在せず、スマホで常に「つながっている」状態。ソーシャルメディアにも積極的に参加し、社会的な課題に対する関心も高い。その一方で、スマホを使う時間が長すぎるのではという自覚があり、ネット社会の進展について慎重な面も見せるとされる。「こういった世代の動向をいかに把握していくかが、10年後に企業が生き残れるかどうかのポイントになる」というわけだ。
中高生にとってはあくまで教育の一環だが、参加する中高生は真剣だ。予選大会を突破すると、さらに議論を重ねてフィールド観察やインタビューなどを行いながら発想し、4カ月かけて決勝大会に臨む。学校の授業の合間を縫って、定期的に集まる。過去に落選した中高生がリベンジで参加するなど、モチベーションは非常に高い。
テーマは企業から与えられるが、フィールド調査などから自分たちも含めて現在の中高生が直面しているさまざまな課題を見つけ、それをどう解決していくかを議論していく。机上の空論や自分たちの思いだけで発想するのではなく、周囲の中高生に日々の生活の様子を実際に聞いているだけに、出てきたアイデアはどれも中高生の実態を反映していた。
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