化粧品口コミサイト「@cosme(アットコスメ)」を運営するアイスタイルは2020年1月10日、東京・原宿に旗艦店となる初の路面店「@cosme TOKYO」を開業した。高級品から低価格商品まで200以上のブランドを扱う国内最大級の化粧品店だ。ブランドと顧客の出合いの場を目指す。

「@cosme TOKYO」外観。JR原宿駅を出ると大きなサイネージが目に飛び込んでくる。横幅約30メートル、縦約3.5メートルもある
「@cosme TOKYO」外観。JR原宿駅を出ると大きなサイネージが目に飛び込んでくる。横幅約30メートル、縦約3.5メートルもある

デパコスからプチプラまで、品ぞろえが特徴

 アイスタイルが1997年に立ち上げたコスメ・美容の総合サイト@cosmeの月間ユニークユーザー数は、2019年9月現在約1290万人。20~30代の日本女性の過半数が毎月利用しているというほどの人気サイトだ。

 同社は02年にはECサイト「@cosme SHOPPING」を開設し、07年にはリアル店舗「@cosme STOREルミネエスト新宿店」をオープン。リアル店舗は日本全国24店舗、海外は直営店を台湾、香港、タイで8店舗展開している。「ネットとリアルの融合」を掲げるアイスタイルが原宿に開業した日本最大級のコスメショップ。一体どんな店なのだろうか。

高価格帯と低価格帯の商品が1つの売り場で共存
高価格帯と低価格帯の商品が1つの売り場で共存

 最大のポイントは取り扱いブランドの数だ。低価格帯から高価格帯まで200ブランド以上がそろう。百貨店が販売する高級品の「デパコス(デパートコスメ)」とドラッグストアで売られている化粧品が、同じ売り場で展開されているのも面白い。

 若い人はデパコスを自分へのご褒美として購入することが多い。また百貨店の化粧品売り場はハードルが高いため、メルカリで使いかけのコスメを買って試す人もいる(関連記事「口紅もOK 『中古』でもかまわない若い女性が増えている」)。そんな若者にとってこの売り場構成は、気軽にデパコスを手に取れる場となるに違いない。

 「テスターバー」という自由に化粧品を試せるコーナーもある。既存の「@cosme STORE」での知見を生かして使い捨てのチップやパフなどを充実させ、「女性が使いやすい環境を整備した」とアイスタイル傘下で運営を手掛けるコスメネクスト(東京・港)の遠藤宗社長は話す。

商品を自由に試せる「テスターバー」
商品を自由に試せる「テスターバー」

 ネットとリアルの融合の施策として、「@cosme」のサイトに掲載した商品を実際に手に取ることができるコーナーがある。1階の「@cosme ウィークリーランキングコーナー」では、サイトのランキングと連動し、ランキングに入っている商品を並べている。リアル店舗では初の試みだという。

「@cosme ウィークリーランキングコーナー」。ランキングはネイルケア、チーク、アイシャドーなど、カテゴリーごとに分かれている
「@cosme ウィークリーランキングコーナー」。ランキングはネイルケア、チーク、アイシャドーなど、カテゴリーごとに分かれている

 その他フロアマップが多言語対応となっていたり、キッズスペースや授乳室・おむつ替えスペースが完備されていたりと、外国人客をはじめ幅広い人がストレスなく買い物できる環境が整っている。

2階の授乳室・おむつ替えスペースのすぐそばに、キッズスペースがある
2階の授乳室・おむつ替えスペースのすぐそばに、キッズスペースがある

ライブ配信やイベントも行う

 店舗にはライブ配信の様子を外から見学できる「@STUDIO」も設置している。20年4月からは、本格的に1日中さまざまなテーマで配信する予定だ。インフルエンサーやクリエイター、化粧品メーカーなどとコラボして番組を作っていくという。その目的は「@cosme TOKYOの外にも情報を発信し、つながりを作るため」(遠藤社長)。InstagramなどのSNSで情報を集めてコスメを購入する若者が多い今、このライブ配信は新たな情報源となりそうだ。

1階の原宿駅側にあるライブ配信スペース。配信の様子は多くの若者を引きつけそうだ
1階の原宿駅側にあるライブ配信スペース。配信の様子は多くの若者を引きつけそうだ

 3階にはイベントスペースを完備。「3階はあえて物を売るスペースにしていない」と遠藤社長。客とブランドやメーカーが関係を深めるイベントを開催する予定だ。商品開発者の思いやブランドが生まれた背景などをユーザーと共有し、ブランドへの愛着を高める場とするのが目標だ。

 肌解析やバーチャルメイクなど、美容とテクノロジーを掛け合わせた「ビューティーテック」が注目を集めているが、「我々がテクノロジーを使ってやりたいのは店頭のIT化ではない」と遠藤社長は強調する。

 「テクノロジーを使ってやりたいのはユーザーとブランドと店舗がつながっていく体験。例えば@cosme TOKYOでサンプルをもらったら、そのサンプルの使い方の動画がメーカーから送られてくるとか、それをECサイトで買う際のお得情報を知らせるといったサービス」(遠藤社長)

 これはあくまでも一例で、「@cosme TOKYOを1つのゲートウエイとして、テクノロジーを使ってお客様とブランドをつなげていくことにチャレンジしていきたい」と言う。

@cosme TOKYOを運営するコスメネクストの遠藤宗社長
@cosme TOKYOを運営するコスメネクストの遠藤宗社長

 また今回新しい取り組みとして「カウンセリング台帳」を始めた。これは客の購入履歴やサンプル提供履歴などについて、ブランドを横断して管理するもの。個人にひも付いたカウンセリング台帳を店舗内全スタッフで共有し、最適なアイテムを提案できるようにするのが目的。将来的にはこうした情報をブランドと共有し、マーケティング活動にもつなげていく考えだ。

ブランドとユーザーの出合いを実現したい

 アイスタイルの吉松徹郎社長兼CEOは@cosme TOKYOの立ち上げについてこう語る。

 「我々のベースにあるのは、ブランドとユーザーをどうつないでいくかという課題。このリアルの場を使って、ブランドとユーザーの出合いを実現していきたい」

アイスタイルの吉松徹郎社長兼CEO
アイスタイルの吉松徹郎社長兼CEO

 遠藤社長も「最初から@cosme STOREではお客様に買って頂かなくてもいいというスタンス。私たちの店は他店舗とのハブになればいい。お客様と新しいブランドや商品との出合いをどれだけ作れるかを大事にしている。それが@cosmeの果たす役割」と付け加える。

 実際に売り上げがあるかどうかについては、「たくさんの人が来店し、商品に触りやすく店内に出入りしやすい環境を作れば売り上げにつながる。これまでの店舗でその実績がある」と遠藤社長は話す。

かわいらしい手書きのPOP。全てスタッフの手作りによるもの
かわいらしい手書きのPOP。全てスタッフの手作りによるもの

 @cosme TOKYOのインバウンド比率の予測は、吉松社長兼CEOは50%、遠藤社長は40%と答えた。いずれにしても高い予測だが、その裏にある思いを遠藤社長はこう打ち明けた。

 「日本の化粧品の小売業を世界に発信していきたい。台湾や香港に店舗を持っているが、本当に勝負できてはいない。海外の強い店やブランドを見てきて、我々も世界に通用する店舗を作りたいという思いをずっと持っていた。原宿を拠点に日本の化粧品小売業は面白いと思われるような店舗にしたい」(遠藤社長)

 街の様子がどんどん変化していく原宿。JR原宿駅は改装のため工事中で、20年4月には駅前に複合施設「ウィズ原宿」が開業する予定だ。@cosme TOKYOもそうした原宿の変化に一役買いそうだ。

(写真/稲垣純也)