ライブ配信やイベントも行う
店舗にはライブ配信の様子を外から見学できる「@STUDIO」も設置している。20年4月からは、本格的に1日中さまざまなテーマで配信する予定だ。インフルエンサーやクリエイター、化粧品メーカーなどとコラボして番組を作っていくという。その目的は「@cosme TOKYOの外にも情報を発信し、つながりを作るため」(遠藤社長)。InstagramなどのSNSで情報を集めてコスメを購入する若者が多い今、このライブ配信は新たな情報源となりそうだ。
3階にはイベントスペースを完備。「3階はあえて物を売るスペースにしていない」と遠藤社長。客とブランドやメーカーが関係を深めるイベントを開催する予定だ。商品開発者の思いやブランドが生まれた背景などをユーザーと共有し、ブランドへの愛着を高める場とするのが目標だ。
肌解析やバーチャルメイクなど、美容とテクノロジーを掛け合わせた「ビューティーテック」が注目を集めているが、「我々がテクノロジーを使ってやりたいのは店頭のIT化ではない」と遠藤社長は強調する。
「テクノロジーを使ってやりたいのはユーザーとブランドと店舗がつながっていく体験。例えば@cosme TOKYOでサンプルをもらったら、そのサンプルの使い方の動画がメーカーから送られてくるとか、それをECサイトで買う際のお得情報を知らせるといったサービス」(遠藤社長)
これはあくまでも一例で、「@cosme TOKYOを1つのゲートウエイとして、テクノロジーを使ってお客様とブランドをつなげていくことにチャレンジしていきたい」と言う。
また今回新しい取り組みとして「カウンセリング台帳」を始めた。これは客の購入履歴やサンプル提供履歴などについて、ブランドを横断して管理するもの。個人にひも付いたカウンセリング台帳を店舗内全スタッフで共有し、最適なアイテムを提案できるようにするのが目的。将来的にはこうした情報をブランドと共有し、マーケティング活動にもつなげていく考えだ。
ブランドとユーザーの出合いを実現したい
アイスタイルの吉松徹郎社長兼CEOは@cosme TOKYOの立ち上げについてこう語る。
「我々のベースにあるのは、ブランドとユーザーをどうつないでいくかという課題。このリアルの場を使って、ブランドとユーザーの出合いを実現していきたい」
遠藤社長も「最初から@cosme STOREではお客様に買って頂かなくてもいいというスタンス。私たちの店は他店舗とのハブになればいい。お客様と新しいブランドや商品との出合いをどれだけ作れるかを大事にしている。それが@cosmeの果たす役割」と付け加える。
実際に売り上げがあるかどうかについては、「たくさんの人が来店し、商品に触りやすく店内に出入りしやすい環境を作れば売り上げにつながる。これまでの店舗でその実績がある」と遠藤社長は話す。
@cosme TOKYOのインバウンド比率の予測は、吉松社長兼CEOは50%、遠藤社長は40%と答えた。いずれにしても高い予測だが、その裏にある思いを遠藤社長はこう打ち明けた。
「日本の化粧品の小売業を世界に発信していきたい。台湾や香港に店舗を持っているが、本当に勝負できてはいない。海外の強い店やブランドを見てきて、我々も世界に通用する店舗を作りたいという思いをずっと持っていた。原宿を拠点に日本の化粧品小売業は面白いと思われるような店舗にしたい」(遠藤社長)
街の様子がどんどん変化していく原宿。JR原宿駅は改装のため工事中で、20年4月には駅前に複合施設「ウィズ原宿」が開業する予定だ。@cosme TOKYOもそうした原宿の変化に一役買いそうだ。
(写真/稲垣純也)