2019年暮れに放映された漫才日本一を決める「M-1グランプリ」で、コーンフレークが脚光を浴び、日本ケロッグの商品「コーンフロスティ」が品薄という消費者からの報告が相次いだ。カルビーの「フルグラ」が人気のシリアル市場でどのくらい売れたのか。日経POS情報のデータから読み解く。
2019年12月22日放送の漫才日本一を決める「M-1グランプリ」で、コーンフレークを題材にしてM-1史上最高得点をマークしたミルクボーイが優勝を果たした。
SNS上では、日本ケロッグ(東京・港)公式Twitterアカウントの「腹筋崩壊レベルでわらったw」という祝福ツイートが約1万6000件リツイートされ、同社は翌日、ミルクボーイに「コーンフロスティ」1年分をプレゼントすることを発表。番組を見てコーンフレークを買いに出かけたTwitterユーザーからは「売り切れてる!」と品薄を報告する声も上がった。
では実際どのくらい「M-1特需」があったのか? 日本経済新聞社が提供する全国のスーパーなど約1500店のPOSデータから商品の売れ行きを分析できる「日経POS情報」のデータによると、12月16日から放送当日(22日)まで1週間の「シリアル類」の販売金額上位商品は、カルビーの「フルグラ」800gがトップで、コーンフロスティは6位。販売個数では2位に付けるものの、フルグラ800gとは約2.5倍の差があった。
それが放送翌日の12月23日から1週間は、コーンフロスティの売り上げが急増して販売金額で2位に躍進。販売個数ではフルグラ800gを上回った。前週比で約2.2倍売れた計算だ。
ミルクボーイの漫才は、「母親が好きな朝ごはんの名前を忘れた」という設定で、ボケ役がコーンフレークと思われる特徴を挙げると、ツッコミ役が「それ、コーンフレークやないか!」と指摘。続いてボケ役がコーンフレークとは違う特徴を挙げ、「コーンフレークちゃうわ」と、行ったり来たりの掛け合いが特徴。「人生の最期がコーンフレークでええわけない」「コーンフレークはね、まだ朝の寝ぼけてるときやから食べてられる」「晩飯でコーンフレーク出てきたらちゃぶ台ひっくり返す」など、ネガティブな笑いも含まれていたが、コーンフレーク連呼が購入意欲を刺激したようだ。
牛乳をかけて食べるシリアル類の売り上げは夏場がピークで、12月~1月は総じて低調というサイクルがある。そんな“シーズンオフ”にコーンフレークを買いに走らせたのだから、ケロッグにとってはミルクボーイさまさまだろう。
もっとも、12月30日から2020年1月5日の週次データでは、フルグラ800gの販売個数がコーンフロスティを抜き返している。降って湧いたコーンフレーク人気を長く保つためには、二の矢三の矢を放つ必要がありそうだ。
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