社内初の全国CMが伸長を後押し

 パッケージデザインは一目で脱げないことが分かるように、下から靴下を引っ張った画像を採用した。さらに岡本哲治社長の肝煎りで、ココピタを看板ブランドに育てることが決まった。しかし発売直後の売り上げは従来商品の1.5倍程度と、期待したほどではなかった。品質には絶対の自信があった。ヒットにつなげるには認知の徹底が課題だった。

 ココピタを開発した岡本の商品本部ナショナルブランド総括課ブランドマネジャーの大林勇士氏は、「知ってもらえば買ってもらえると確信していた」と話す。18年のテストマーケティングで、フットカバーの着用期間が長い沖縄や販売網が確立できていた福岡限定でテレビCMを流したところ、売り上げが3倍に伸びた。CM効果に手応えを覚え、19年には本格的に全国で放映を始めた。

 CMには最初に「靴下の岡本」というフレーズを入れ、インパクトを加えた。「岡本を知らずに岡本製の靴下を履いている人にも知ってもらう機会と捉えた」と大林氏は狙いを明かす。

 認知を売り上げにつなげるため、CMと同時に販路も工夫した。CMを見てすぐ買えるように、ドラッグストアなど生活圏での販売先を増やした。

ココピタを開発した岡本の商品本部ナショナルブランド総括課ブランドマネジャーの大林勇士氏
ココピタを開発した岡本の商品本部ナショナルブランド総括課ブランドマネジャーの大林勇士氏

 岡本によると関東圏のF1層(20~34歳の女性)は、テレビの視聴が週に1時間未満と極端に少ない。もともとF1層をターゲットに売り出したココピタだが、実際のボリュームゾーンは30~50代女性だという。そこで今後さらにF1層を取り込むべく、デジタル施策にも積極的に取り組む考えだ。

 大林氏によると最大の課題はシーン訴求だという。パンプスだけでなくさまざまなシーンでの使用用途を訴える。現在、女性の靴の多様性に合わせて超深履き、深履き、浅履きなどレディースで5種類を展開するココピタだが、選びづらいとの声もある。店頭では各商品の写真とお薦めの靴タイプの写真を並べ、選びやすさを訴求すると同時に複数買いを促進していく。19年の正確な売上高はまだ出ていないが、「現状は春夏がメインの商品で、その春夏だけで前年同期比660%を達成しており、年間を通して比較しても大きく成長したという結果は変わらない」(岡本)と、大躍進に自信をみせる。

19年秋冬には足底が裏起毛素材の「タイツイン」を発売。タイツの中に重ね履きすることで冷えを防ぐという新たなシーンを提案する
19年秋冬には足底が裏起毛素材の「タイツイン」を発売。タイツの中に重ね履きすることで冷えを防ぐという新たなシーンを提案する

 ココピタの快進撃を他社が黙って眺めているわけはないだろう。この先、「脱げない靴下戦争」への突入もあり得る。しかし「社の理念は『足もとから、ひとりひとりのしあわせをともにつくる』。市場が活発化すれば技術も発展していく。新しい価値を今後も作っていきたい」と大林氏。特許で守りを固めた独自技術に対する自信なのか、迎え撃つ余裕すらうかがえる。

(写真/北川聖恵、写真提供/岡本)