日本各地に続々と登場している、ちょっと変わったネーミングの高級食パン店。東京・清瀬市などの「考えた人すごいわ」、札幌の「乃木坂な妻たち」、熊本の「もはや最高傑作」など、経営はそれぞれ異なるが、これらの店の共通の「仕掛け人」がいる。ジャパン ベーカリー マーケティング社長でベーカリープロデューサーの岸本拓也氏だ。

「もう言葉がでません」の外観。名前の由来は、「耳が柔らかで口どけがよく言葉にならないほどのおいしさ」であることから命名した
「もう言葉がでません」の外観。名前の由来は、「耳が柔らかで口どけがよく言葉にならないほどのおいしさ」であることから命名した

 同社は2013年に創業し、日本全国から海外まで、高級食パンに限らず、コッペパン専門、クリームパン専門などさまざまなタイプのベーカリーを108件(19年10月末現在)プロデュースしてきた。そんなコンサルティングを本業とする同社が、自社直営として初の高級食パン専門店 「もう言葉がでません」を19年11月8日に鳥取市にオープンした。その目的は地域活性化だという。

 「パン屋で鳥取を元気にする。それは我々にしかできない地方創生のやり方だ」と岸本氏は言う。岸本氏がこれまでプロデュースした高級食パン店はいずれも行列のできる人気店となり、地域の話題となるなどの社会現象を引き起こした。こうしたにぎわいの核になる店を作れば、人々が集まる場ができ、その街の暮らしを楽しくすることができる。そうしたパン店を通じた地域の活性化を、岸本氏は以前から考えていたという。

商品ラインアップはプレーンの「なまの口どけ」(2斤800円、税別)とレーズン入りの「まぼろし」(2斤980円、税別)の2種類。切り売りはしない。鳥取県は砂糖とコーヒーの消費量が例年、都道府県別ランキングの上位であることから、コーヒーに合うといわれる赤糖を使用し、甘みにこだわって仕上げた(写真提供/ジャパン ベーカリー マーケティング)
商品ラインアップはプレーンの「なまの口どけ」(2斤800円、税別)とレーズン入りの「まぼろし」(2斤980円、税別)の2種類。切り売りはしない。鳥取県は砂糖とコーヒーの消費量が例年、都道府県別ランキングの上位であることから、コーヒーに合うといわれる赤糖を使用し、甘みにこだわって仕上げた(写真提供/ジャパン ベーカリー マーケティング)

 同社は、パン店のノウハウを持たない異業種からの参入をサポートするコンサルティングを行っている。異業種といっても一番多いのは、近接業種である飲食業からの参入だという。「中でも、地方から東京などの大都市に出て飲食店を成功させた人から、『故郷でも何か事業を始めたい』と相談を受けることが多い」と岸本氏は言う。

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