激戦区で勝ち残る秘策は、街への貢献

 近隣のオフィスワーカーや国内外の観光客に照準を合わせた食品と飲食ゾーンも、リンクス梅田の目玉の一つだ。近鉄グループのスーパー・近商ストア(大阪府松原市)が梅田に初出店。地下1階のスーパーマーケット「食品専門館ハーベス」では、弁当と総菜の構成比が35%を占める。ピーク時には弁当約200種類、総菜約200種類以上が並ぶ。同社の粕本源秀社長は、「居住者や観光客が急増する大阪の都心部では食品に対するニーズが高まっており、ポテンシャルは大きい。梅田は大阪の玄関口であり、千載一遇のチャンス」と意気込む。

 地下1階の「オイシイもの横丁」には約20軒の飲み屋が軒を連ね、オフィスワーカーのランチやちょい飲みのニーズに応える。館内には「スターバックスコーヒー」が3店舗、台湾ティー「ゴンチャ」も2店舗が入るなど計15店舗のカフェや軽食店を用意し、梅田の“カフェ難民問題”の解消に一役買っている。

近鉄沿線を中心に展開する近商ストアの食品スーパー「ハーベス」は梅田初登場。梅田エリアでトップクラスの弁当・総菜数を目指す。22席のイートインスペースも併設されている
近鉄沿線を中心に展開する近商ストアの食品スーパー「ハーベス」は梅田初登場。梅田エリアでトップクラスの弁当・総菜数を目指す。22席のイートインスペースも併設されている
人気の台湾ティーカフェ「ゴンチャ」は、地下1階と4階に2店舗展開する
人気の台湾ティーカフェ「ゴンチャ」は、地下1階と4階に2店舗展開する

 今後、大阪では25年の日本国際博覧会(通称、大阪・関西万博)や、統合型リゾート施設(IR)など大きなプロジェクトが控えるため、インフラ整備も重要課題だ。リンクス梅田には関西国際空港や主要都市への直行バスと観光バスが発着する「バスターミナル」のほか、全1030室の「ホテル阪急レスパイア大阪」やコワーキングスペース「WeWork」も併設。さらに建物外周を1周するペデストリアンデッキ(歩行者専用橋)が、阪急梅田駅方面など3方向5カ所とつながることで、街の回遊性向上にも大きく貢献する。

 現在、JR大阪駅の北側に広がる「うめきた」地域の地下では、新しい駅の工事が進行中だ。20年秋には広大な都市公園を中心とした「うめきた2期」の開発が本格化し、24年の街開きに向けてさまざまなプロジェクトが始動する。さらにこれまで街を分断していたJRの線路が地下に入れば、中津や福島とも一体化した巨大商圏の誕生も期待できる。「梅田の商業の中心が、百貨店の集積する南側から西側へと移っている。今後、うめきた2期が街開きすれば、間違いなく北へと広がり、リンクス梅田北側の再開発も始まるだろう」と、安藤部長は推測する。

 ただ、大きく変貌し続ける梅田エリアで、後発施設が存在感を持ち続けるのは難しい。リンクス梅田が立地の優位性を武器に高い集客力を保持していけるかどうかは、圧倒的な品ぞろえはもちろん「街への貢献」が一つのキーワードとなりそうだ。

1階には国内主要都市への直行便が発着するバスターミナルを整備した。関西空港リムジンバスの到着地点でもあり、インバウンドのゲートウェイとしての発展拠点となることを目指す
1階には国内主要都市への直行便が発着するバスターミナルを整備した。関西空港リムジンバスの到着地点でもあり、インバウンドのゲートウェイとしての発展拠点となることを目指す

(写真/橋長初代)