データ売買の日本データ取引所(東京・渋谷)は2019年12月20日、兼松との資本業務提携を発表した。兼松が提携する仏ダウエックス・システムズのデータ取引基盤と、日本データ取引所のコンサルティング事業を組み合わせる。欧州最大規模のダウエックスの日本参入は、停滞気味なデータ取引を刺激しそうだ。
日本データ取引所は、顧客企業の社内データ活用の計画立案、外部データ調達の仲介、データ連携の法的相互運用性を検証するといった事業を提供している。今回の資本業務提携により、顧客が持つデータをダウエックスのプラットフォーム上で流通させたり、顧客がダウエックスのプラットフォームから必要なデータを入手するといった使い方ができるようになる。
兼松は19年9月、ダウェックスと事業提携した。ダウエックスのデータ取引プラットフォームの日本語化を進め、20年初めをメドに日本での利用を始める。
ダウエックスは日本市場を活性化するか
日本データ取引所はかつて、独自のデータ取引プラットフォームの設立を目指してきた。ただ取引所を作るだけでは、その上でデータ売買をしてくれる企業を発掘していくことは難しい。独自の取引所を構築しても短期間のコスト回収は難しいという課題があった。
そこで、データ売買やデータ連携に関心のある企業へのコンサルティング事業に注力。「データ活用に積極的になった企業やデータホルダーなどに、ダウエックスのプラットフォームを活用してもらいたい」と日本データ取引所の森田直一社長は語る。
データ取引市場は、かねて有望と言われながら世界的にみてもまだ発展途上の段階といえよう。日本では、14年7月にエブリセンスジャパン(東京・港)が設立されており、その2年後の16年2月に日本データ取引所が設立された。ここへきてダウエックスの取り組みは異彩を放ちつつあった。世界で20以上の業種、9000社超の企業が利用している。
ダウエックスが扱うデータは小売りや金融、エネルギー、物流など多岐にわたる。企業がマーケティングや製品・サービス開発に役立つような情報やデータが売買できる。
日本データ取引所は、デジタルマーケティングのデジタルインテリジェンス(東京・渋谷)やデータ分析のデータセクションの出資を受けていた。今回の資本提携によって兼松が筆頭株主になる。
日経クロストレンドは、日本データ取引所の協力を得て、国内のデータホルダー一覧を作って記事配信をしてきた。