「Money20/20 USA」は、ラスベガスで毎年10月に行われる“金融とFintechに関する世界最大級のコンベンション”だ。テーマは「Journey to the Future of Money」で、金融以外の多様な業界からも多数の参加者がある。お金に関するトレンドや技術の最新情報を得られる場だ。2019年に参加して感じた、これからの4つのトレンドを報告する。
このコンベンションは2011年に来場者1500人でスタートしたが、現在は4000ドル以上の参加費にもかかわらず、1万3000人以上が業界と国を超えて参加する大型コンベンションに成長した。
筆者も開催2年目の12年から継続して参加している。参加し始めてから19年で8年目になるが、8年連続で参加すると、お金に関しての技術や考え方がどう変化してきたか、これからどう変化しそうかが見えてくる。今回は19年に感じた「現在と今後のお金の動き」について、簡単にまとめてみたい。
まずは、19年のMoney20/20で集中的に語られていた、お金をめぐるトレンドを4つ紹介したい。
トレンド1:フィンテック技術の統合が進み、APIの提供でパートナーと連携したサービス提供が主流に
トレンド2:Financial Inclusion/Financial Empowermentがバズワードに
トレンド3:「フィンテックを金融以外の業界に」が進む
トレンド4:米国発のフィンテックが新興国に拡大
以下、それぞれのトレンドについて解説する。
トレンド1:フィンテック技術の統合が進み、APIの提供でパートナーと連携したサービス提供が主流に
17年、18年は金融のAPI拡張が進み、Money20/ 20でもこれが大きな話題になった。この「簡単につなげる」ことを活用してフィンテック技術の統合が進んでいる。これはユーザーの利便性向上にも寄与する。
新規フィンテックベンチャーは、SaaS(Softweare as a Service)モデルが多い。顧客を自社で集客することなく、BtoBのプラットフォーマーとして機能とオペレーションサービスを提供する。集客コストを必要としないほうが収益化もしやすいので、投資を集めやすくなる。
すでに単体機能でBtoCモデルで成功した成功組のベンチャーも、この流れに沿って変化している。個人間(PtoP)送金の機能だけで2200万人のユーザーを擁する米ベンモのようなベンチャーだ。もともとは自社でユーザーを集めて大きくビジネスを伸ばしてきた。しかし、より多くの収益を求める投資家からのプレッシャーもあり、パートナーシップを拡張、強化している。
米ウーバー・テクノロジーズや米グラブハブなどの飲食関連企業とパートナーシップを結び、それぞれのアプリの決済機能に連動した「追加機能」として提供してもらっている。簡単に海外送金できるサービスを提供する英トランスファーワイズも、19年9月に「TransferWise for Banks」というAPIベースのSaaSを導入、米国内の銀行に積極的に営業をかけ始めている。
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