ANAグループの旅行事業を手掛けるANAセールス(東京・中央)は2019年12月3日、荷物を減らして身軽に旅行に出られる「ANA手ぶら旅行サービス」など14種類の新商品を発表した。ダイナミックプライシングやシェアリングなど新しいビジネストレンドを取り入れ、新規顧客の獲得を狙う。
「ANA手ぶら旅行サービス」はネット宅配レンタルを旅行商品に組み入れた商品で、旅行中に着る服、靴、カメラ、美容家電などをレンタルできるのが特徴だ。レンタルした製品を宿泊先で受け取り、使用後は宿泊先から返送するため、行き帰りの荷物を減らして気軽に旅を楽しめる。衣類と靴はバーニーズジャパンが旅行先に合うものをコーディネートしてくれる。旅先でおしゃれに過ごしたいが荷物がかさばるのは避けたい、帰宅後の洗濯が面倒といったニーズに対応する。カメラはキヤノンのデジタル一眼カメラ「EOS Kiss M」をレンタルできる。モニター向けサービスを2020年1月に開始し、モニター向け価格はレンタル1商品につき2000円。
「ANAシェア旅」は個人が旅行者などを手助けするシェアリングサービスを取り入れた商品。例えば旅行中のペット預かりなど、「利用したい人」と「提供したい側」の両方をネットで結び付ける。サービス提供者は利用者から謝礼をもらうと同時に、ANAセールスから初回に限りANA旅行券がもらえる。
これまでWebのみで販売していたダイナミックプライシング(価格変動)型のパッケージツアーも、旅行会社店頭で購入できるようにする。出発日の355日前から前日まで購入可能だ。この他、VR(仮想現実)やドローンといった新技術を活用したサービスなどを提供する。
ANAセールスの宮川純一郎社長は「2020年度以降、国内旅行ブランドと海外旅行ブランドをすべてANAトラベラーズに統一する。多彩なニーズに応える商品とサービスを用意し、これまでにない新たな旅の体験を提供したい」と期待を述べた。
旅行会社や提供形態によって変えていたブランドを統一して分かりやすくし、異業種との協業で細かな需要に応える新商品や新サービスを提供していく。背景にはAirbnbやExpedia(エクスペディア)などの新規事業者が増え、人気を集めていることへの危機感がある。
ANAセールス旅行戦略部の田部敏之部長は「旅行業界でもデジタルトランスフォーメーションが活発化し、新しいプレーヤーが増え、新しい価値を提供している。ANAセールスとしても旅行ブランド統一に当たり、データベースマーケティングを活用してこれまで対応しきれていなかった細かなニーズを把握し、それに応えるサービスの提供を進めていく」と意気込みを述べた。