カフェ主体のカフェ・カンパニーと居酒屋主体のsubLimeが経営統合した。相互の強みを生かし、商業施設などへの提案力を高める。新会社では食ビジネス向けの資金調達支援サービスや飲食店の生産性を高めるプラットフォームサービスにも参入し、業界全体の底上げに取り組む。

カフェ・カンパニーの楠本修二郎社長(右)とsubLimeの花光雅丸社長
カフェ・カンパニーの楠本修二郎社長(右)とsubLimeの花光雅丸社長

 カフェ運営のカフェ・カンパニー(東京・渋谷)は2019年11月1日、居酒屋運営するsubLime(サブライム、同・新宿)と経営統合した。統合会社の売上高は、300億円、店舗は450店となる。カフェ・カンパニーの楠本修二郎社長は、「売上高が約3倍になり、財務基盤も安定する。業態の種類が増えて、商業施設のデベロッパーへの提案力も増す」と統合のメリットを説明する。

 カフェ・カンパニーは、1999年に東京・原宿にカフェを立ち上げて以来、都会的なセンスを生かした「WIRED CAFE」などのカフェ業態を中心に展開。先端的な雰囲気を好む若者から支持され、店舗を増やしてきた。一方、サブライムは、2005年に東京・吉祥寺の屋台からスタートし、「ひもの屋」や「北の家族」などの居酒屋を主力とする。企業買収を繰り返して店舗網を急拡大してきたほか、独自の独立支援制度によってモチベーションの高い人材を採用することに成功している。サブライムの花光雅丸社長は、「両社で業態の重なりがほとんどないため、互いを補完できる。シナジーを発揮して食の未来に貢献したい」と話す。

 11月1日に持ち株会社、GYRO HOLDINGS(GYRO、同・新宿)を設立。サブライムは株式交換でカフェ・カンパニーの株式を取得し、GYROに社名変更する。既存の事業は事業会社に移す。楠本社長と、サブライムの花光雅丸社長の2人が持ち株会社の共同代表に就任した。楠本社長、花光社長、サブライムの中村英樹副社長の3人で99%超の持ち株会社の株式を保有する。外食業界は、市場が縮小傾向にある。また、他の業界と比べて、人材採用に苦戦するほか、離職率が高いという課題がある。今後も厳しさを増す市場環境の中で生き残るとともに、外食業界の活性化を図るため経営統合に踏み切った。

 今後、GYROは、国内外の店舗を増やすほか、食のファンド/インキュベーション事業、食のプラットフォーム事業、食のアカデミー事業など8つの事業を展開し、飲食店の支援や人材育成に取り組む。

数千万円規模の資金調達を支援

 食のファンド/インキュベーション事業の目玉として、食ビジネスの起業家向けにクラウドファンディングなどを活用、数千万円規模の資金調達を可能にする支援サービスを20年5月に開始する。飲食店を開業する場合、数千万円の資金が必要。従来は、自己資金や金融機関からの融資を組み合わせてまかなっていた。多様な目的に対応したクラウドファンディングサービスはあるものの、ユーザーが支援金を提供するという位置づけのため、集められる金額は数十万から数百万円程度が一般的。飲食店開業のための資金を集めるには不十分だった。新サービスによって、独自性のある飲食店や食のサービスなどを立ち上げたいプレーヤーが参入しやすくなるため、外食産業の活性化を期待できるという。

 食のプラットフォーム事業では、ITやデータを活用した飲食店向けソリューションを提供し、労働環境の改善や生産性向上に取り組む。例えば、カフェ・カンパニーは、ベンチャー企業のTricoLogic(東京・文京)と共同で、AIによる画像分析技術を用いた実証実験を19年11月に開始した。店内にカメラを設置してスタッフを撮影。ディープラーニングによりスタッフの行動データを分析することで、業務工数の削減や接客力の向上を実現する。サブライムと共同で、こうしたテクノロジーを活用した現場の改善サービスを強化する。

食ビジネス専門大学の設立を目指す

 食のアカデミー事業では、現在国内にない食ビジネス専門大学の設立を目指す。モデルとするのは、米国のカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)だ。CIAは、非営利団体が運営する食ビジネスの専門大学で、調理や栄養学のほか、マネジメントやマーケティングなど外食ビジネスに必要なカリキュラムを提供する。調理専門学校よりも高いレベルの専門大学を設立することで、外食人材の底上げと、外食市場全体の底上げを目指す。

カフェ・カンパニーが運営するカフェ「WIRED CAFE」
カフェ・カンパニーが運営するカフェ「WIRED CAFE」
subLimeが運営する居酒屋「ひもの屋」
subLimeが運営する居酒屋「ひもの屋」
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