ファッションビルの本領発揮

 昨今、ファッション業界の低迷により、大型商業施設に出店するアパレルは似たような顔ぶれで新鮮さに欠ける。その点、若者文化をけん引してきたパルコらしく、ファッションフロアにおいても、独創的でエッジの効いたブランドや有力ブランドが集結している。各ブランドの世界観を前面に表現し、ファッションの楽しさを改めて気づかせてくれる挑戦的なフロアだ。

 公園通り側の1階正面入り口を入ると、「コム デ ギャルソン ガール」「グッチ」「トム ブラウン」「ロエベ」といったハイエンドブランドが軒を連ねる。グッチはミラーに覆われたシーリングライトやネオンによって、渋谷のストリート感を取り込んだ同店ならではの内装とVIPルームが印象的だ。2階には「イッセイ ミヤケ シブヤ」「アレキサンダーワン」「アンダーカバー」「トーガ」「ビューティフルピープル」、3階には「アンリアレイジ」「アンスリード」「ポール・スミス」など、ラグジュアリーからモード、ストリート、ヴィンテージまで約100のブランドが集積している。

公園通りに面して専用エントランスを設けた「グッチ」は、渋谷の街のポップなストリート感覚と、グッチのエレガントでコンテンポラリーな折衷主義を融合したユニークなコンセプトのショップ
公園通りに面して専用エントランスを設けた「グッチ」は、渋谷の街のポップなストリート感覚と、グッチのエレガントでコンテンポラリーな折衷主義を融合したユニークなコンセプトのショップ

 ファッションゾーンで特筆すべきは、パルコのDNAでもある「インキュベーション」を具現化し、ブランド育成を目的とした編集売り場「ガイザーパルコ」(3階)と「ポートパルコ」(4階)だ。百貨店が展開する自主編集売り場はよくあるが、デベロッパーが主体的に手掛ける編集売り場は珍しく、パルコとしては初の取り組みだ。

次世代のファッションデザイナーやブランドのインキュベーションを目的とした編集売り場「カイザーパルコ」。百貨店の自主編集売り場と比べ、ブランドの世界観を表現できる売り場づくりを行っている
次世代のファッションデザイナーやブランドのインキュベーションを目的とした編集売り場「カイザーパルコ」。百貨店の自主編集売り場と比べ、ブランドの世界観を表現できる売り場づくりを行っている

 ガイザーパルコには、レディースのデザイナーブランドや海外では有名だが日本で知られていないブランドなど、初直営店3店舗を含む8店舗が出店。売り場の内装と造作をパルコがプロデュースし、集合レジや共通フィッティングなどを設けて出店しやすい環境を整えた。海外を中心に展開する東京ブランド「ファンダメンタル」が商業施設内に初出店したほか、欧米中心に高い評価を得ているフットウエアブランド「フラワーマウンテン」が直営1号店を出店。「常設で店を出せるブランドは限られるうえ、新しさや面白さにも欠けるので、そこをクリアしたかった」(売り場担当の吉井達弥氏)という。

カオスな空間で昆虫スイーツを食す

 飲食ゾーンは「そこに集まり、コミュニティーを形成し、空間と時をともに楽しめるような場所」をコンセプトに編集された。地下1階「カオスキッチン」と7階「レストランセブン」などで全37店舗を展開する。

「食・音楽・カルチャー」をコンセプトに、飲食店と物販店が混在した食のゾーン「カオスキッチン」。天井と床の鏡面素材に店舗が映り込み、個性と多様さを増幅させながら広がっていくようなカオスな空間が登場
「食・音楽・カルチャー」をコンセプトに、飲食店と物販店が混在した食のゾーン「カオスキッチン」。天井と床の鏡面素材に店舗が映り込み、個性と多様さを増幅させながら広がっていくようなカオスな空間が登場

 ここ数年、食の強化を図ってきたパルコのなかでもユニークな取り組みといえるのが、飲み屋街をそのままビル内に再現したような「カオスキッチン」だ。コンセプトは「食・音楽・カルチャー」。個性的な飲食店21店舗が軒を連ねる路地風の通りには、レコードショップやフェスのオフィシャルショップ、占いの店も混在し、鏡面素材を使った演出でまさに混沌とした空間を作り出している。

 世界を救う食材と注目される昆虫料理とジビエを堪能できる「米とサーカス」や、ミシュランガイドのビブグルマン(5000円以下で満足度の高いお薦め店)にも掲載された代官山の人気ビストロ「アタズ」の新業態、五反田に本店を構え連日行列の立ち食いうどんの名店「うどん おにやんま」が商業施設初出店。ひと口サイズに切ったハンバーグステーキを鉄板カウンターで焼いて食べる福岡の人気店「極味や(きわみや)」が東京に初上陸した。

米国西海岸でミシュランに掲載され、連日大行列の人気ラーメン店「ジカセイ メンショウ」は国内10店舗目。WAGYU×RAMEN!をコンセプトにスーパーフードを麺に練り込んだヴィーガン担々麺や和牛醤油らぁめんを提供。Twitter本社でも使用しているワンハンドスタイルの縦型ラーメン器は少量の油分でもコクを出せるので、見た目よりも味はあっさりしている
米国西海岸でミシュランに掲載され、連日大行列の人気ラーメン店「ジカセイ メンショウ」は国内10店舗目。WAGYU×RAMEN!をコンセプトにスーパーフードを麺に練り込んだヴィーガン担々麺や和牛醤油らぁめんを提供。Twitter本社でも使用しているワンハンドスタイルの縦型ラーメン器は少量の油分でもコクを出せるので、見た目よりも味はあっさりしている

 ユニークなところでは、XRの企画・制作を手掛けるティフォン(東京・千代田)が展開する新業態「ティフォニウム・カフェ」で、AR(拡張現実)とスイーツを組み合わせた「魔法パフェ」を味わえるほか、創業53年の老舗喫茶店「はまの屋パーラー」が夜の時間帯はバーに変身する。新宿2丁目発のミックスバー「キャンピーバー」は、一杯ずつの会計システムなので、バー初心者も安心して楽しめそうだ。

「ティフォニウム・カフェ」は最先端技術を用いて魔法のような体験ができる新業態カフェ。「夜パフェ」でおなじみのガクがメニュー監修を手掛けた魔法パフェを注文すれば、タブレットでAR体験を楽しみながら時間を過ごせる。話題の新作タロット占いアトラクションも体験可能
「ティフォニウム・カフェ」は最先端技術を用いて魔法のような体験ができる新業態カフェ。「夜パフェ」でおなじみのガクがメニュー監修を手掛けた魔法パフェを注文すれば、タブレットでAR体験を楽しみながら時間を過ごせる。話題の新作タロット占いアトラクションも体験可能
新宿2丁目発のゲイカルチャーバー「キャンピーバー」は商業施設初出店。女装ウエートレスや個性的なキャラのスタッフたちが優しく出迎えてくれ、一緒に場を盛り上げてくれる。営業時間は18時~翌日5時まで
新宿2丁目発のゲイカルチャーバー「キャンピーバー」は商業施設初出店。女装ウエートレスや個性的なキャラのスタッフたちが優しく出迎えてくれ、一緒に場を盛り上げてくれる。営業時間は18時~翌日5時まで
「GG SHIBUYA mobile e sports cafe & bar(ジージーシブヤ モバイル イー スポーツ カフェ アンドバー)は、日本初のモバイルeスポーツを中心としたパブリックビューイングカフェ&バー。海外での世界大会を同時に体験できるオールナイトビューイング企画も
「GG SHIBUYA mobile e sports cafe & bar(ジージーシブヤ モバイル イー スポーツ カフェ アンドバー)は、日本初のモバイルeスポーツを中心としたパブリックビューイングカフェ&バー。海外での世界大会を同時に体験できるオールナイトビューイング企画も