2017年の流行語大賞にノミネートされた「睡眠負債」。いまだに各種雑誌やウェブサイトで睡眠特集が組まれており、人々の高い関心がうかがえる。そうした中、ヘルスケア製品や医療関連機器を扱うフィリップスが睡眠の質を高める“ヘッドバンド”を発表した。

「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド」。頭に装着して眠り、睡眠の質を向上させる
「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド」。頭に装着して眠り、睡眠の質を向上させる

新しい睡眠のソリューションを提案

 電動歯ブラシや電気シェーバーなどで知られるフィリップス・ジャパン(東京・港)は2019年11月7日、睡眠時に装着し眠りの質を高める「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド(以下、SmartSleep)」を発表、同11月26日に発売する。ターゲットは一晩の睡眠時間が6時間未満の人。額と耳のところに付いている2つのセンサーで脳波を測定し、睡眠の状態を計測。深い睡眠に入ると耳元に柔らかいオーディオトーンを流し、睡眠の質を高めるという。

ヘッドバンドの構造。2つのセンサーで眠りを計測
ヘッドバンドの構造。2つのセンサーで眠りを計測

 人間は入眠すると浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠を繰り返す。健康な人の場合、深い睡眠が最初にくることが多いという。「短時間のうちに最も深い睡眠の状態になるのが健康なので、そこにSmartSleepで働きかけ、深い睡眠の状態をさらに強化していくのが製品コンセプト」とフィリップス・ジャパンSRC事業部事業部長の安部美佐子氏は話す。

 SmartSleepはアプリと連動し、自分の睡眠状態を可視化できる。睡眠スコアや夜間の睡眠段階の推移グラフなどが見られるため、自分の睡眠が改善されているかどうかが分かりやすい。

睡眠スコアと睡眠段階の推移のグラフ
睡眠スコアと睡眠段階の推移のグラフ

 本体は充電式で、2~3時間の充電で一晩中使うことができる。価格は4万2380円(税別)。センサーは消耗品で、それを含めると2年使用して1日当たり約100円になるという。

 気になるのが「効果が期待できる/推奨している対象者」だ。本製品は50歳以下の人にお薦めしているという。50歳以上の効果については「SmartSleepを2週間使うと、全体の70%のユーザーが日中の疲労感が軽減したという結果が出た。年齢を経るに従って深い睡眠の比率は誰もが短くなる。SmartSleepは深い睡眠に働きかけるので、比較すると若い年代のほうが効果が出やすいとご理解いただければ」と安部氏。50歳以上でも全く効果がないというわけではなさそうだ。

睡眠は日本が抱える課題

 フィリップス・ジャパンの堤浩幸社長は睡眠不足による日本の経済損失について指摘。試算によると仕事のパフォーマンスが落ちるといった影響が、GDP(国内総生産)比で約3%、年間約15兆円に上るという。

スピーチで大きな目標を掲げたフィリップス・ジャパンの堤浩幸社長
スピーチで大きな目標を掲げたフィリップス・ジャパンの堤浩幸社長

 製品発表会では早稲田大学リサーチイノベーションセンター研究戦略部門の枝川義邦教授が、睡眠不足によるパフォーマンスの低下について解説した。徹夜、睡眠4時間、同6時間、同8時間の4つのグループに分けて2週間ほど過ごした実験では、6時間睡眠が2週間続けば、徹夜と同じくらいの認知能力になっているという。「6時間睡眠は定着しやすく、十分寝ているしパフォーマンスを発揮できていると思いやすい。睡眠不足は睡眠障害と異なり、自覚がないのも特徴」(枝川教授)

「睡眠負債」について解説する枝川教授
「睡眠負債」について解説する枝川教授

 枝川教授は眠らずにずっと起きているときの脳機能の低下についても指摘。覚醒時間が15時間以上で酒気帯び状態、24時間では血中アルコール濃度0.1%の飲酒状態と同じくらいまで低下するそうだ。

 堤社長は「世界と比較して平均睡眠時間が短い日本。これは国の課題であり、フィリップスは皆さんにもっといい睡眠をとってもらって生産性を高め、もっと活動を活発にできるような健康な生活を作っていきたい」と話した。