ダイソンが2019年11月29日に発売する「Dyson Pure Humidify+Cool」は、送風、空気清浄、加湿機能を搭載した一台三役のモデル。同社としては初の加湿空気清浄機だ。このモデルは日本で先行発売された後、20年上半期には中国や韓国、北米市場にも投入されるという。

ダイソンが2019年11月29日に発売する「Dyson Pure Humidify+Cool」(直販価格は税込み8万8000円)
ダイソンが2019年11月29日に発売する「Dyson Pure Humidify+Cool」(直販価格は税込み8万8000円)

空気の質の向上にこだわった4年間

 ダイソンが空気清浄機と加湿器を相次いで発売したのは2015年のこと。それから4年、ようやく19年11月に両方の機能を備えた加湿空気清浄機「Dyson Pure Humidify+Cool(ダイソン ピュア ヒューミディファイ プラス クール)」がお目見えした。

 とはいえ日本製の加湿空気清浄機は10年以上前から存在し、現在、人気商品ランキングにはシャープやダイキン、日立、パナソニックといったメーカーが並んでいる。サイクロン掃除機や羽根のない扇風機など、先進性を売りにしてきたダイソンだけに、“初”の加湿空気清浄機と言われても“いまさら”という印象は拭えない。

 「加湿器を発売した15年には、すでに加湿空気清浄機の開発に着手していた」と話すのは、ダイソンで空調家電製品カテゴリー グローバル・カテゴリー ディレクターを務めるチャーリー・パーク氏。「Dyson Pure Humidify+Coolでは、当時とは全く違う加湿テクノロジーを採用している。また空気の拡散方法、センサーの使い方なども従来の製品とは異なる」。

ダイソン 空調家電製品カテゴリー グローバル・カテゴリー ディレクターを務めるチャーリー・パーク氏
ダイソン 空調家電製品カテゴリー グローバル・カテゴリー ディレクターを務めるチャーリー・パーク氏

 「どこの製品とは言わないが、加湿機能の衛生面に問題のある製品があることも確認した。Dyson Pure Humidify+Coolでは安全な水準まで細菌を減らし、また細菌を外に放出しないことに重きを置いて開発を進めた」(パーク氏)

 開発に時間がかかったのは、空気の質を向上させるための解決策を模索した結果だと言うのだ。

 「単機能を実現するだけなら簡単だが、Dyson Pure Humidify+Coolでは加湿機能と空気清浄機能のバランスが重要かつ難しいポイントだった」と、パーク氏は加湿空気清浄機の難しさを打ち明ける。

空気清浄機の効果測定に独自の試験室を用意

 パーク氏はさらにこう付け加える。「開発にあたって英国のキングス・カレッジ・ロンドンおよびロンドン市と共同で、ロンドンの5つの学校の児童約250人にセンサー付きリュックを背負ってもらい、通学時の空気状況について調査した。その結果、自転車やスクーターで通う児童よりも通学バスやマイカーを利用する児童のほうが汚れた空気にさらされていること、さらに屋外より家庭の空気の汚染度が高いことが分かった」。

 「空気清浄機を開発する際には、実際に生活している人の現実的な環境での問題を解決することが重要」というのがパーク氏の主張だ。そのために用意したのが「POLAR試験室」と呼ばれる独自の試験室。ダイソンではこの試験室を使って“現実的な環境”での効果測定に取り組んでいる。

 「業界標準の試験室(幅3.7×奥行き2.7×高さ2.5メートル)は部屋が小さい上、部屋の中央に空気清浄機を設置して清浄スピードを測定している。しかも、多くは部屋の天井に取り付けたファンで空気をかき回しており、空気の汚染度を計測するセンサーは空気清浄機の近くに1つだけ。それでは現実的な計測方法とはいえない」(パーク氏)

 一方、POLAR試験室は3倍超の容積(幅6.0×奥行き4.5×高さ3.0メートル)で、世界各国の部屋を平均した広さとなっている。空気清浄機を部屋の隅に置いて計測している点も現実的だ。また計測用のセンサーは9カ所に設置して、部屋全体の空気がきれいになったかを確認するという。もちろん空気を強制的にかき回すようなことはしていない。

一般的な業界標準の試験室(赤い枠内)とPOLAR試験室(白い部屋全体)のイメージ。ダイソンでは、実際に空気清浄機が使われる環境を想定して、その効果を測定している
一般的な業界標準の試験室(赤い枠内)とPOLAR試験室(白い部屋全体)のイメージ。ダイソンでは、実際に空気清浄機が使われる環境を想定して、その効果を測定している

 それ以外にも、「ブリーズモード」という自然のそよ風のような気流を実現するアルゴリズム開発のため、3軸型超音波風速計を使って同社の英マルムズベリー研究開発拠点の8カ所で4000万以上のデータポイントを収集したという。製品開発においてこうした徹底したリサーチを実施するのはまさにダイソン流。開発に4年かかったというのもうなずける。