毎月10製品を発売する

 現在のラインアップはオリジナル家電と輸入商品を織り交ぜている。毎月、オリジナル製品を2製品、日本向けに改良した中国や台湾などの製品を8~10製品、合計10製品以上を送り出している。すべて自社開発で作りたいが、まだそれだけのマンパワーがないのだという。

 「毎月10製品というのはこれまでの経験から導いた数だ。これが正解というわけではないが、これ以下だと注目度が下がって直販サイトのアクセスが減る。逆にこれ以上だと製品が多すぎて売れにくくなる」(山光氏)

 製品数が多いと在庫リスクが気になるが、新製品は初回ロットを絞り、リスクを極力減らしている。

 「毎回薄氷を踏むような感じでやっている部分がある。しかし数を控えめにしていると、販売して数時間で完売してしまうことも結構あり、予測が難しい。例えばヒットした糖質カット炊飯器の初代モデルは、発売してすぐに売り切れた」(山光氏)

「糖質カット炊飯器」の初代モデル。米を煮た後、糖質成分が溶け出た煮汁を排出することで糖質を約3分の1カットできるというもの(写真提供/サンコー)
「糖質カット炊飯器」の初代モデル。米を煮た後、糖質成分が溶け出た煮汁を排出することで糖質を約3分の1カットできるというもの(写真提供/サンコー)

スタッフからの企画と提案で製品を開発

 市場ニーズを読み取り、“当たる”製品開発を積み重ねるために、毎週、店頭販売スタッフを含めて30人以上いるスタッフ全員に企画と課題を提案してもらっている。製品のアイデアだけでなく、生活の中で「こういったことに困っている」という課題を出してもらうとヒントになることが多く、それを企画開発の担当者が製品に落とし込んでいく。

 「集まったすべての課題や商品提案に、私がサジェスチョンをしている。良い案には報奨も出しているが、それ以上に皆、自分が考えたものが形になって販売されたり、テレビなどで取り上げられたりすることがやりがいになっている。現在、社内にすごくいい流れができていると感じている」(山光氏)

 社員のアイデアで生まれた製品の1つが、まだ家電を手掛ける前に発売した、スマホに取り付ける自撮り用のクリップリングライトだ。自撮りで顔が暗く写るのを解決したいという店舗の女性スタッフからのアイデアだった。その他、寝たまま使える机「ゴロ寝デスク」や、衣服のシワを伸ばす乾燥機「アイロンいら~ず」も現場スタッフのアイデアによるものだ。

アイロンがけが面倒だというスタッフのアイデアがきっかけになった、シワを伸ばす乾燥機「アイロンいら~ず」。シャツの形をした乾燥機にシャツを着せて乾かす(写真提供/サンコー)
アイロンがけが面倒だというスタッフのアイデアがきっかけになった、シワを伸ばす乾燥機「アイロンいら~ず」。シャツの形をした乾燥機にシャツを着せて乾かす(写真提供/サンコー)

 社内スタッフによるアイデア出しで製品を開発しているため、市場リサーチなどは一切行っていない。

 「費用をかけていろいろ調べて集めた情報も、結局は何らかのバイアスがかかっていることが多い。そうした情報に右往左往させられるのではなく、自分たちが消費者として困っていることをうまく解決できるかどうかを大切にしている。例えば『自分が30歳の女性だったらこの商品をどう思うか』といったことをスタッフに話し、そうした視点で考えてもらう。この積み重ねでヒットにつながる精度がかなり上がってきた」(山光氏)

 外部からアドバイザーやデザイナーを招くこともないという。「外部の力に頼ってしまうと、自分たちで試行錯誤しなくなってしまう。仮に製品がヒットしたとしても、それがどういう要因でヒットしたか分からないのでは進歩がない」と山光氏。

 ユニークさが評価され、テレビ番組で製品が採り上げられることも増えてきた。販売はECサイトと店舗中心だったが、大手家電量販店や商社との取引強化を図る。今後はサンコーのブランド化を進めていきたいという。まさに大手メーカーの“スキを突く”サンコーの家電製品。目にする機会がますます増えそうだ。

(写真/湯浅英夫、写真提供/サンコー)