最近の若者は「ググらない」といわれている。ではどのように情報を収集しているのか。答えはSNSだ。となれば企業はSNS上でもブランディングを考慮した情報発信が非常に重要で、的確な公式アカウントの運用が必要となる。調査データや取材を通して、若者に刺さる公式アカウントを分析する。

若者にリーチするため、企業はSNS上の公式アカウントを積極的に活用すべきだ ※写真はイメージです(写真:Tom Wang/Shutterstock.com)
若者にリーチするため、企業はSNS上の公式アカウントを積極的に活用すべきだ ※写真はイメージです(写真:Tom Wang/Shutterstock.com)

「アカウントフォロー+ハッシュタグ」で情報収集

 何か気になることがあったとき、Googleなどの検索サイトで調べるのは自然な行動だ。しかし現在は最初に「ググる」ことが減ってきたといわれている。代わって利用頻度を高めているのがSNSでの検索だ。読者の方も、電車が遅延していればTwitterで交通情報を検索することが多いのではないだろうか。今や情報を検索するならSNSのほうが速いことが広く認知されつつある。

 SNSによる情報収集は検索に限った話ではない。好きな公式アカウントや芸能人、インフルエンサーのアカウントをフォローして情報収集する。またハッシュタグをフォローすることでフォロワー以外から新たな発見を得る人も多い(関連情報「今どきの“ググらない”若い女性の情報収集と購買行動」)。自分のSNSを開けば自分好みの情報がどんどん集まってくる。「アカウントフォロー+ハッシュタグ」で、自ら情報をキュレーションしているようなものだ。

Instagramで検索すると、ハッシュタグをフォローできる
Instagramで検索すると、ハッシュタグをフォローできる

 若者はこの傾向がさらに強い。NHK放送文化研究所の世論調査部が2018年に行った「情報とメディア利用に関する調査」によると、SNSを利用する理由は16~69歳までの全体では「個人的に知りたい情報が得られるから」が54%、「家族や友人、知人の近況を知りたいから」が50%と、情報収集とコミュニケーションがほぼ同数となっている。しかし16~19歳に絞ると、前者が74%にも上り、後者は42%と、コミュニケーションよりも情報収集のためにSNSを使っていることが分かる。

 「10代はコミュニケーションに積極的」という印象が強いため、この結果を意外に感じるかもしれない。しかし常にスマホを手にしている10代にとって、テレビや新聞よりも身近に情報を得られるSNSを活用することは自然な行為だ。

 つまり若い世代をターゲットとしている企業は、SNSの公式アカウントを最大限に利用するのが得策といえる。そこで気になるのが、10代の企業公式アカウントに対する捉え方だ。

10代は公式アカウントに好印象

 まず、10代は企業が運営するSNS上の公式アカウントをどれほどフォローしているのか。アプリ調査のテスティー(東京・中央)が運営する「それちょう」が19年1月に行った調査によると、LINEでは64.2%、Twitterでは59.0%、Instagramでは45.9%、Facebookでは40.4%、TikTokでは25.0%、YouTubeでは18.7%が公式アカウントをフォローしている。Facebookを利用している10代は減少傾向にあるが、情報収集のためなら利用するのだろう。TikTokの公式アカウントも25.0%と、今後伸びが期待できそうな数値だ。

公式アカウントを活用する場としてTikTokも重要なプラットフォームになっている
公式アカウントを活用する場としてTikTokも重要なプラットフォームになっている

 公式アカウントをフォローする理由は、そのブランドや商品が好きでいち早く情報を得られるという理由の他に、クーポンやお得な情報を入手できるからという理由も挙がっている。具体的なメリットがないと判断されれば、一度フォローしてもアンフォローされる可能性もうかがえる。

 では公式アカウントへの印象はどうなのか。「良い印象を受ける」と回答した人は42.8%と約半数の人が好感を持っている。「親近感が増すから(18歳男性)」「個性があって見ていて楽しいから(17歳女性)」など、公式アカウントの独自性にも高評価を与える人が多い。

 一方、「どちらとも言えない」は52.9%、「悪い印象を受ける」は4.3%だ。「どちらとも言えない」には辛口のコメントが多く、「クーポンや情報はいいけど、通知が多い(19歳女性)」「うまく使っている企業もあるけど、そうではない企業も多い(18歳女性)」などが挙がっている。それちょうによると、悪い印象を受けると回答した理由も「通知の多さ」が挙げられているようだ。

 通知が多くて迷惑と感じるSNSといえば、おそらくLINEだろう。LINEには知り合いからのメッセージが多く着信するため、そこに公式アカウントからの通知が加わると煩わしさを感じやすい。

 19年3月にソフト開発のシステムインテグレータ(さいたま市)が行った調査では、「登録していたECサイト・ブランドのLINEアカウントを、友だちからブロックする理由として最も多いのはどれですか」との問いに、「通知がくるのが面倒だから」が43.5%、「自分にマッチしない(求めていない)情報が送られてくるから」が30.9%という結果が出ている。同調査では女性のほうがブロックしている割合が多いとのこと。これは全年代への調査なので、LINEの操作に詳しい10代に絞るともっと気軽にブロックしていることが推測できる。

通知のタイミングを間違えると致命的

 以上を踏まえると、公式アカウントに求められるものは「親近感」、そして「クーポンなどお得な情報」であり、通知のタイミングや頻度を間違えると致命的ということが分かる。SNSでの振る舞いにたけた10代に対して親近感を持たれる投稿となると、「中の人」である20代以上のビジネスパーソンにはかなりハードルが高い。しかしクーポンや最新情報の提供であればチャレンジしやすいだろう。

 10代は情報収集目的でSNSを利用しているので、あまり気張らずに企業や商品の情報を投稿するだけでも十分意味があると考えられる。その際、各SNSの特色とニーズに沿った内容にするのが大切だ。

 それちょうの調査で「SNSがきっかけで知った企業」があると回答した人が50.2%だったことも無視できない。筆者が取材した女子大生は、好きな企業やブランドのツイートの中から気に入ったものをリツイートしていた。10代にとってリツイートによる拡散は自然な行為なため、知り合いからの口コミ効果で認知が広がったと考えられる。

 公式アカウントの認知向上には、SNSの検索画面に広告を出稿する手もある。情報を求めている人が訪れる検索画面なら広告が煙たがられることも少ない。Instagramは19年10月29日に検索結果の画面にも広告を表示することを発表した。Twitterも検索画面に表示する広告商品がある。フォロワーを増やしたいなら、積極的な利用も検討の余地があるだろう。

Twitterの検索画面に表示されるプロモーション広告
Twitterの検索画面に表示されるプロモーション広告
この記事をいいね!する