2019年の年末商戦に向けて楽天が発表したお歳暮、おせちに共通するキーワードは「消費者の“罪悪感”の解消」だ。ポストに投函できる「ポ歳暮」は「再配達を依頼するときの罪悪感」を、好きなものだけを集めた「“だけ”おせち」は「食べ残しの罪悪感」を軽減するという。

楽天が提案するポスト投函型ギフト「ポ歳暮」は、はがきや封筒のように自宅のポストに配達すればOK。受け取る側の手間もなく、再配達の必要もなくなる
楽天が提案するポスト投函型ギフト「ポ歳暮」は、はがきや封筒のように自宅のポストに配達すればOK。受け取る側の手間もなく、再配達の必要もなくなる

再配達の「罪悪感」を「ポ歳暮」で解決

 お歳暮といえば「風呂敷に包んで直接届けるもの」という考え方はもう古い。宅配便を利用するのがイマドキだ。大手ECサイトの「楽天市場」(楽天)は、年末のお歳暮シーズンに向けて、ポストに投函(とうかん)できるサイズに収めたお歳暮「ポ歳暮」を開発。「お歳暮&冬ギフト特集2019」の特設ページとして「いつでも受け取れる!ポスト投函 OK ギフト」を新設した。

「ポ歳暮」の例。昆布専門問屋 源蔵屋の「よろ昆布ギフト」(左)は税込み2980円、漆器かりん本舗の「幸せの箸渡し名入れギフト」は同2750円
「ポ歳暮」の例。昆布専門問屋 源蔵屋の「よろ昆布ギフト」(左)は税込み2980円、漆器かりん本舗の「幸せの箸渡し名入れギフト」は同2750円

 楽天市場の調査によれば、2019年の年末にお歳暮を贈る予定のある人は約6割に上る。ところが「宅配の再配達を依頼した経験のある人が約7割。再配達してもらうことに罪悪感を覚える人は約9割もいる」と、楽天 マーケティング部 シニアマネージャーの白石龍哉氏は言う。「宅配便の再配達が問題になっているなか、年末にかけては配送量が増加する。そこで、配送業者にも受け取り手にも負担がない『ポ歳暮』を(楽天市場の)出店店舗と共同で開発した」

再配達を利用したことがあるユーザーは約7割、再配達に罪悪感を覚えるユーザーは約9割(楽天市場「お歳暮に関する意識調査 N=1000」より)
再配達を利用したことがあるユーザーは約7割、再配達に罪悪感を覚えるユーザーは約9割(楽天市場「お歳暮に関する意識調査 N=1000」より)

 国内における「お歳暮市場」が縮小傾向にあるなか、楽天市場における「お歳暮」の売り上げは、16年から18年までの3年間で約1.3倍増と好調。またポスト投函型ギフトの取り扱いは50万点以上に上り、同期間で約1.6倍に伸びているという。「ポ歳暮」の狙いが的中すれば、「お歳暮+ポスト投函型」の相乗効果が期待できそうだ。

「“だけ”おせち」で食品廃棄の「罪悪感」を低減

 お歳暮と並んで年末商戦の鍵となるのがおせち料理だ。楽天市場で「おせち」を購入するユーザーは、16年から18年にかけて約2割増加している。ところが、おせちを残したことのある人は約6割、食べ残したことに罪悪感を覚える人は8割以上もいるという。

おせちを残したことのあるユーザーは約6割、食べ残したことに罪悪感を覚えるユーザーは8割以上(楽天市場「おせちに関する意識調査 N=1000」より)
おせちを残したことのあるユーザーは約6割、食べ残したことに罪悪感を覚えるユーザーは8割以上(楽天市場「おせちに関する意識調査 N=1000」より)

 そこで楽天市場が開発したのが「“だけ”おせち」だ。これは、特定の具材だけで作った「好きな具材“だけ”おせち」の意味。楽天市場の調査でも約4割が理想のおせちとして「好きな具材だけのおせち」を挙げている。食べ残しに罪悪感を覚えるユーザー向けのおせち料理を用意したわけだ。

 「罪悪感を軽減することで、ユーザーを拡大するのが狙い。また、社会問題の1つにもなっているフードロスに対して、家庭でできる取り組みとしても提案したい」(白石氏)

 楽天市場では19年のおせち商戦に向けて「肉“だけ”おせち」「蟹“だけ”おせち」「中華“だけ”おせち」「鮪“だけ”おせち」を展開。これらのおせちは同サイトの「おせち年越し特集2020」で扱っている。

具材を限定した「“だけ”おせち」の例。肉のいとう「お肉のおせち」は、前9品(5~7人前)で税込み3万2400円、豊洲からの直送便「豊洲市場が作る刺身重」は税込み1万9440円
具材を限定した「“だけ”おせち」の例。肉のいとう「お肉のおせち」は、前9品(5~7人前)で税込み3万2400円、豊洲からの直送便「豊洲市場が作る刺身重」は税込み1万9440円

増税の影響で「お家クリスマス」がトレンドに

 もう1つ、年末商戦で注目されるのがクリスマスだ。19年のクリスマスイブ、12月24日は平日に当たる。また消費税増税の影響で外食が減るとの見方もある。

 楽天市場の調査でも8割以上が19年のクリスマスは「自宅で過ごす」としており、同サイトでは、19年は「お家クリスマス」が盛り上がると予測。出店店舗とのコラボで「アドベントカレンダー」を開発し、同名のウェブページも開設した。

 アドベントカレンダーとは、クリスマスまでの日数を数えるために使う特別なカレンダーのことで、日にちが書かれた小窓を開けると中からお菓子などが出てくる。何が出てくるかわくわくしながら、クリスマス当日までのカウントダウンができるわけだ。

リンツ チョコレート Lindtの「アドベントカレンダー」(左)は、税込み1980円。12月1日からクリスマスイブの24日まで、毎日1つずつ窓を開けていく。右の「MARK’S アドベントツリー」は税込み2750円
リンツ チョコレート Lindtの「アドベントカレンダー」(左)は、税込み1980円。12月1日からクリスマスイブの24日まで、毎日1つずつ窓を開けていく。右の「MARK’S アドベントツリー」は税込み2750円

 また、先述のおせち料理関連では、前年比で約2.1倍増と人気の高い「洋風おせち」や、子供から年配者までが楽しめるオードブル形式の「クリスマスおせち」を用意、クリスマスに合わせた配送に対応するという。

(写真/堀井塚高)