セガトイズ(東京・台東)が意外性のある新ジャンルのおもちゃでクリスマス商戦に勝負をかける。2019年10月31日発売の「夢ペット 産んじゃったシリーズ」は、ぬいぐるみをなでながらお産を応援する、未就学児向け知育玩具。「出産」をテーマに子供の心をつかめるのか。開発者に勝算を聞いた。
鳴き声の変化に合わせて出産を手伝う
一見すると夢ペット 産んじゃったシリーズは何の変哲もない音の出るぬいぐるみ。猫、犬、うさぎの3種類あり、例えば「夢ペット 産んじゃったシリーズ ねこ産んじゃった!」なら母猫の背中をなでると「にゃー、にゃー」とリアルな鳴き声を出す。これだけなら「かわいいね」で終わりだろう。
このぬいぐるみが“真価”を発揮するのはここから先だ。なで続けると「にゃー、にゃー」から「ゴロ、ゴロ」へと声色が変わり、さらに続けるとキラキラ光るような効果音が流れ、お産の準備が整ったことを告げる。面ファスナーで閉じられた母猫の腹部を開くとハッピーバースデーの曲が始まり、中から子猫たちを取り上げれば、無事、出産。締めはかわいい女の子の声で発せられる「ハッピーバースデー!」だ。
生まれたばかりの子猫たちを母猫の腹部に押し付けると、コクンコクンとノドを鳴らして母乳を飲む音がする。もちろん犬やうさぎでは、それぞれ違う鳴き方で反応する。商品ジャンルとしては「ペット玩具」に該当し、ターゲットは3~6歳の女の子だ。
確かにコンセプトは斬新かつユニークだ。しかし、いくら鳴き声やデザインでかわいらしさを強調したとはいえ、「出産」という生々しいテーマの商品を、あえて玩具販売の天王山であるクリスマス商戦に投入するのはなぜか。その理由はここ数年で激変した玩具市場にあった。