大通り沿いにギャラリーを設置、インフルエンサーも活用

 渋谷キャストの屋外ガーデンには特設ギャラリーを設置した。ギャラリーは明治通りに面した中庭にあり、壁の一部は透明なカラーパネルになっている。「通りかかった人が自然に中に入れるように工夫した」と井出氏。また池田氏も「渋谷を歩いていたら、すごくいい写真が目に入った。それが『あ、ニコンが作品展をやってるんだ』となれば、フォトコンテストはもちろん、ニコンというブランドも身近に感じてもらえるのではないか」と付け加える。

屋外ガーデンの特設ギャラリー。このようなギャラリーを設置するのは今回が初だという(写真提供/ニコン)
屋外ガーデンの特設ギャラリー。このようなギャラリーを設置するのは今回が初だという(写真提供/ニコン)

 「写真家だけでなく、お出かけ系インフルエンサーにも声をかけて作品展を広めてもらった。そこからの反響も大きかった」と池田氏は言う。「ここに来れば楽しめるということを伝えてもらいたかった。実際に多くの人がギャラリーで写真を撮っていた」

 「商品の広告を張り出したりせず、ニコンというメーカーをあまり意識させないように」と井出氏。池田氏も「ニコンのイメージはそのままに、魅力的な写真たちで街を彩り、(作品展に)入りやすい形を作りたい」と語る。

 ニコンでは近年、カメラ女子をターゲットにしたウェブサイト「NICO STOP(ニコストップ)」の運営や、横浜DeNAベイスターズの撮影会の開催といったプロモーション活動を展開している。しかし今回のフォトコンテストを通じて同社は、コミュニティーという敷居をなくしてユーザーを引きつける術(すべ)を見つけたと言えそうだ。

 「若い人たちが写真に関心を持っているなら、環境を提供することはカメラメーカーとしての義務」と楠本氏は言う。「“写真熱”を高める活動は、競合を含めて業界全体でやっていかなくてはならない」。フォトコンテストに限らず、写真、ひいては自社ブランドをより身近に感じてもらうことは、あらゆるプロモーション活動に通じる。

左から井出由佳氏、楠本滋氏、池田明子氏(写真/志田彩香)
左から井出由佳氏、楠本滋氏、池田明子氏(写真/志田彩香)