睡眠の段階(ステージ)に合わせて最適な温度に自動制御。シャープのプラズマクラスターエアコン新シリーズは、睡眠中の空調管理への不満解消のためスリープテックベンチャーのニューロスペース(東京・墨田)と共同で開発した。気象予報から環境変化を先読みして無駄な稼働を防ぐ省エネ効果も。

シャープのプラズマクラスターエアコン「Xシリーズ」はCOCORO AIR搭載の新シリーズで、業界で初めてクラウドAIによる運転制御を可能にした。全9機種で、価格は約23万~37万円(税別)
シャープのプラズマクラスターエアコン「Xシリーズ」はCOCORO AIR搭載の新シリーズで、業界で初めてクラウドAIによる運転制御を可能にした。全9機種で、価格は約23万~37万円(税別)

業界初のクラウドAIで就寝中も日中も快適に省エネ

 プラズマクラスターエアコン「Xシリーズ」は、無線LANアダプター内蔵エアコン「COCORO AIR」の新シリーズ。クラウドAI(人工知能)に気温や湿度などの気象予報データを取り込み、日中も睡眠中も環境の変化を先読みして穏やかに室温を制御するのが特徴だ。従来は天気の変化にリアルタイムで追従するため、急に冷やしたり、逆に暖めたりと、稼働に負荷がかかるため省エネの観点でも望ましいといえなかった。今回先読みを可能にしたことで、クラウドAIの制御なしの場合と比べて電力を15%削減できたという。

 エアコン本体とクラウドAIを無線でつなぐ機能は業界で初めて。クラウドに蓄積したリモコン操作データもAIが学習し、気象情報だけでは分からない、各戸の日当たりや間取りなどにもフィットした快適な室温に制御できるようになる。学習期間は使用開始から1週間程度で、使い続けるほど精度が上がっていくという。

睡眠のステージに合わせて快適温度に制御し続ける

 Xシリーズの大きな特徴は「スリープテック」機能だ。睡眠の前半と後半では温湿度の感じ方が異なる点に着目し、それぞれのステージに合わせた温度コントロールができるようにした。専用アプリでセットした就寝時間の少し前から自動で運転を始め、寝室に入るときに快適な温度へ調整。例えば冷房では、深い睡眠が多い前半は深部体温を下げて深く眠れるよう低めにし、レム睡眠が多くなる後半は冷えすぎないよう設定した起床時間に向けて適切な温度に上げていく。制御する時間は15分ごと、温度は0.25度単位という細かさだ。

専用アプリでセットした就寝時間の少し前から自動で運転を始める
専用アプリでセットした就寝時間の少し前から自動で運転を始める

 ステージに合わせた温度設定やモニター調査は、70社以上の企業に睡眠改善プログラムを提供するニューロスペースが協力した。年齢、性別、家族構成が異なるモニター33人の家で実際に調査したところ、90%が「快適」と答えた。さらに客観性を保つため、心拍、呼吸、体動が測れる睡眠計測デバイスを用いて調査したところ、中途覚醒が13%減少したという。

 快適と感じる温度には個人差があるため、起床後にアプリで満足度をフィードバックしてもらい、クラウドAIが分析して次回以降の設定に反映しパーソナライズの精度を上げていく。

起床後にフィードバックを取りAI制御の精度を上げる
起床後にフィードバックを取りAI制御の精度を上げる

 シャープによると、ここ数年、酷暑が続いたこともあり、夏場の冷房の利用率が増加しているという。1600人を対象にした調査では約75%が睡眠中も冷房を使用し、うち90%が起床まで一度も設定温度を変更しないことが分かった。

 シャープのSmart Appliances & Solutions事業本部国内空調・PCI事業部空調商品企画部主任の水野琢馬氏は、「50%のユーザーが寝室空調に不満を感じており、主な不満点は、光熱費の高さと(冷房では)冷えすぎること。暖房の利用状況も増えており、ますますエアコンに省エネ性と快適性が求められる」と、クラウドAIで省エネ、快適性を向上させたXシリーズへのニーズに自信を見せる。

 プラズマクラスター搭載の空気清浄機との連携も強みだ。クラウドデータを他機種に共有できる仕組みも検討しているそうで、それによりユーザーを囲い込めれば他の無線LAN内蔵家電「COCORO +」への誘導も期待できる。

冷房も暖房も利用率が増加している
冷房も暖房も利用率が増加している
睡眠中に冷房を使用する人の90%が起床まで一度も設定温度を変更しないという
睡眠中に冷房を使用する人の90%が起床まで一度も設定温度を変更しないという

(画像提供/シャープ)