知的財産についての権利は主張する

――基本的にeスポーツはIP(ゲームのキャラクターなどの知的財産)ホルダーが大会を運営することが多く、第三者による運営は多くありません。Intel World OpenでIPホルダー以外が主催するイベントの指針が示せれば、カプコンにさまざまな大会開催のオファーがくる可能性が出てきます。

辻本 長年「ストリートファイター」を使ってカプコンプロツアーを開催していますが、個々の大会はコミュニティーベースであったりします。しかし「ストリートファイターリーグ」については我々IPホルダーが主導すべきだと思っています。カプコンが目指しているのは、プロ野球やJリーグのようなプロスポーツリーグです。運営母体があって、各リーグに所属するチームが存在する形です。この運営にIPホルダーが加わることで、健全性が保たれると考えています。

 他のスポーツとeスポーツが違うのは、ゲームコンテンツがあって初めて成り立つ点です。そのコンテンツにゲームメーカーが投資をしているわけです。したがって、知的財産権も存在しますし、アップデートや次回作の開発に向けた資金集めもしなくてはなりません。それらを踏まえると、やはりIPホルダーが主体的に関与するメリットがあると考えるべきでしょう。

eスポーツ大会に「IPホルダーが主体的に関与するメリットがある」と強調するカプコンの辻本社長
eスポーツ大会に「IPホルダーが主体的に関与するメリットがある」と強調するカプコンの辻本社長

――eスポーツイベントをIPホルダーが管理することで、一定以上の水準が保たれる側面もあるということですね。

辻本 海外、特に米国ではコミュニティーベースで始めた大会が次第に大きくなっており、さらなる発展に向けて大会開催にあたってのルールを整備すべく、コミュニティーとIPホルダーが議論し始めています。

 これまで日本では、コミュニティーベースでも大会をなかなか開けませんでした。それが18年に日本eスポーツ連合(JeSU)が発足して、IPホルダーを中心にeスポーツを推進していけるようになりました。こうした動きは世界的にもまれなケースですから、海外のIPホルダーから、なぜ日本ではIPホルダーがしっかりグリップできているのかと聞かれます。

 日本は海外に比べてeスポーツの普及が遅かった。ただ、そのおかげで諸外国が抱えていた問題などが整理された状態で取り組みを始めることができたのです。今回の東京ゲームショウでも多くのeスポーツイベントが開催されていましたが、JeSU主催とIPホルダー主催のイベントが併存しています。

18年2月に発足したJeSU。写真は役員を務める7人。左からガンホー・オンライン・エンターテイメント取締役の越智政人氏、カプコン社長の辻本春弘氏、JeSU専務理事の平方彰氏、JeSU会長の岡村秀樹氏(セガホールディングス代表取締役社長)、JeSU副会長の浜村弘一氏(KADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザー)、SANKO社長の鈴木文雄氏、コナミデジタルエンタテインメント社長の早川英樹氏
18年2月に発足したJeSU。写真は役員を務める7人。左からガンホー・オンライン・エンターテイメント取締役の越智政人氏、カプコン社長の辻本春弘氏、JeSU専務理事の平方彰氏、JeSU会長の岡村秀樹氏(セガホールディングス代表取締役社長)、JeSU副会長の浜村弘一氏(KADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザー)、SANKO社長の鈴木文雄氏、コナミデジタルエンタテインメント社長の早川英樹氏

――IPホルダーがコミュニティーベースの大会も管理するとなると、チェックが大変なのではないでしょうか。

辻本 申請内容をチェックし、承認できるかどうかの判断をしています。管理するというわけではありません。当社としては、今後の発展に向けた分析のために各大会の実績は把握しておきたく、大会のデータを提供してもらったり、結果について報告してもらったりはしています。無料の大会に関しては申請料などもいただいていませんし、申請していただくことでIPホルダー公認の大会になりますから、双方にとって望ましい結果になるのではないでしょうか。