競合はカウンターコーヒー?

 狙いは他にもある。非飲食業でのコーヒーマシンの利用拡大だ。同社はスーパーなどにマシンを設置してコーヒーを提供する「カフェ・イン・ショップ」事業を13年に開始。同社と取引のあった小売店からスタートし、ガソリンスタンドやクリーニング店などの非飲食業にも広げていった。客が自らコーヒーをいれる「セミセルフ形式」なら、店員は水やコーヒー豆を補充するだけでいいので、非飲食業でも取り入れやすいというわけだ。

 「ちょっとしたスペースでも開業できるので、サイドビジネスとしても大きな可能性がある。決済機能付きのマシンがあれば、会計の手間が省けるので導入しやすいのではないか」と島川氏は期待を寄せる。

 例えば、フラワーショップやテークアウト専門の飲食店などは、商品の受け渡しまでに顧客が時間を持て余す場合が多い。こうした店舗にまでマシンのレンタルが広がれば、それだけコーヒーの売り上げも伸びる。つまり、ネスレ日本のシェア拡大に寄与するということだ。

フラワーショップなど、あらゆる店舗のカフェ化を狙う
フラワーショップなど、あらゆる店舗のカフェ化を狙う

 ネスカフェアンバサダーのサービスでオフィスに進出する際、同社が当初想定した“ライバル”は、ビル内に設置されている自動販売機だった。その点、家庭とオフィス以外へも拡大を狙うバリスタ デュオ プラスのライバルは、コンビニのカウンターコーヒーといったところだろう。だが、コンビニがどこにでもあるのに対し、例えばカフェ・イン・ショップは全国に約4200店舗。数も少ないうえ、どこに行けば飲めるのか、利用者が把握しにくいという課題もある。同社は今後、アプリ上に一般開放されているコーヒーマシンの位置を地図で表示することも検討するという。

 「缶コーヒーは自販機の普及で世の中に浸透した。カウンターコーヒーもコンビニがその仕組みを作ったことで広がった。コーヒーの発展は機械のイノベーションがあってこそ。バリスタシリーズもその1つだと考えている」(島川氏)。人手をかけずにコーヒーを販売できるキャッシュレスマシンの投入で、「あらゆる場所のカフェ化」を狙うネスレ日本。家庭外のコーヒー市場をさらに拡大できるか、注目だ。

(写真提供/ネスレ日本)