ライブ配信に出演する男性タレントにリアルタイムで指示を出し、その行動をスマホで観察する――。こんな斬新なライブ配信企画が進行中だ。舞台は、2019年10月2日にリリースされたイベント参加型ライブ配信アプリ「LIVEPARK(ライブパーク)」。既存のライブ配信サービスとの違いとは?

イベント参加型アプリ「LIVEPARK」はiOS、Androidに対応
イベント参加型アプリ「LIVEPARK」はiOS、Androidに対応
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 「テレビ放送の創成期の視聴形態は、街頭に置かれた1台のテレビを皆で見る『パブリックビューイング』だった。その一体感、瞬間を共有する楽しさを現代のスマートフォン、その先にあるVRグラスなどの次世代デバイスでも再現していきたい」

 そう語るのは、イベント参加型ライブ配信アプリの「LIVEPARK(ライブパーク)」を提供するLivePark(東京・港)の安藤聖泰社長だ。同社は、日本テレビ放送網などが出資し、安藤氏が社長を務めていたHAROiDが2019年8月1日に分社化し、設立された企業。テレビ番組と連動したCMや対話型コンテンツを提供してきたHAROiDのノウハウを生かし、5G時代の新たなエンターテインメント体験の提供を目指す。

 メンバーには、ニフティで日本初の本格的な商用ブログサービス「ココログ」を企画し、その後、ガジェットメディア「ギズモード・ジャパン」や動画メディア「bouncy」で初代編集長を歴任してきた清田いちる氏も参画する。「『17 Live(イチナナライブ)』や『SHOWROOM(ショールーム)』といった既存のライブ配信アプリはCGM的だが、ライブパークはテレビ制作のプロなどが企画したコンテンツであることが大きな違い。Netflixなどの動画配信サービスをスマホでいつでもどこでも視聴できる時代に、あえてネット上で、決められた時間でしか味わえない特別な体験をつくっていきたい」と、清田氏は意気込む。

VR時代をにらんだ“触れる”映像づくり

 ライブパークでは、当初テレビ番組連動あるいはオリジナルのライブ配信企画が用意されている。まず10月4日から始めるのは、日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」と連動した「金ローただいま実況中」(毎週金曜21時~)と、男性アイドルに対して視聴者がリアルタイムに様々なオーダーをできる「イケメン観察バラエティ『妄想実行委員会-会議室のプリンス編-』」(毎週金曜23時前後~)。続いて12日からは、視聴者同士が協力して箱に閉じ込められた有名タレントを救出するイベント企画「共闘バトル Q-SHUTSU(キューシュツ)」(毎週土曜22時頃~)が始まる。

 イケメン観察バラエティでは、ライブ配信中に視聴者アンケートを行い、出演する男性アイドルにやってほしいことを募集。それに基づいて、例えば菓子を食べる指示などを男性アイドルに出し、その場で対応する様子を見て楽しめる。また、共闘バトルQ-SHUTSUでは、出演する2人のタレントにひもづくチームを結成し、視聴者はどちらかに所属。タレントにまつわるクイズや連打ゲームなど、配信中に次々と提示される“試練”をクリアすることで、「推し」のタレントの解放を目指す。ライブ配信とファンミーティングを融合させたような斬新な企画だ。

10月12日から始まる「共闘バトル Q-SHUTSU(キューシュツ)」のアプリ画面例
10月12日から始まる「共闘バトル Q-SHUTSU(キューシュツ)」のアプリ画面例
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 いずれの企画も、ライブ配信をただ眺めているだけではなく、視聴者がスマホをタップしてゲームに参加したり、コメントを書き込んだりと、能動的に楽しめる仕掛けを盛り込んでいる。こうしたやり取りを円滑にするため、ライブパークではリアルタイムにエンコードすることで映像音声の遅延を大幅に抑える技術を導入しているのも特徴だ。「これまでライブ配信は20~30秒以上の遅延は当たり前だったが、ライブパークは0.5~1.5秒程度のタイムラグに抑えられており、視聴者からの反応にもリアルタイムに応えられる」(安藤氏)という。

 また、清田氏は「スマホ画面は普段、“触る”ことが基本なのに、なぜか動画コンテンツの視聴時だけはそうしていない。これは現在のライブ配信サービスがスマホに最適化されていないからで、デバイスの特性を生かし切れていない」と指摘する。映像に“触れる”という体験を作り込むことは、スマホの次といわれるVRグラスの時代に入っても当然重要な視点となる。だからこそ、ライブパークではゲーム機能などを盛り込み、ライブ配信の視聴者が積極的にスマホを触るコンテンツ作りをしているという。

 今後は上記の企画に加え、スポーツイベントや音楽ライブ、子供やビジネスパーソン向けの教育系ライブ配信など、コンテンツを拡充していく計画。有料のオンラインイベントや課金モデルも模索していく構えだ。視聴者の熱中度が高いヒット企画が生まれていけば、広告媒体としても面白い存在になりそうだ。