「若者のクルマ離れ」など、若い世代は高価な物を所有しなくなっているといわれている。取材で会う10代女性も、新品を手にする喜びより中古品を含めた賢い消費に目が向いている人が増えてきた。スマホを駆使して節約する若い世代の消費行動を分析する。

口紅も「中古」だって気にしない ※画像はイメージ(写真:Leonardo da/Shutterstock.com)
口紅も「中古」だって気にしない ※画像はイメージ(写真:Leonardo da/Shutterstock.com)

100円均一の中古品もフリマで売買

 2018年秋ごろから「パパのおさがり」というハッシュタグを付けた投稿がInstagramに増えたのをご存じだろうか。父親が若い頃、おそらく80~90年代に来ていた服を、10代の娘たちが着る流行だ。現在、大きなロゴやゆったりしたシルエットの服がはやっていることもあるが、若い女性たちはお金をかけず、手軽にオシャレを楽しむ点に価値を見いだしている。親世代からすると「こんなに古い服が?」と戸惑うばかりだろう。

 古着の流行は今に始まったことではないが、彼女たちは中古品への抵抗感を持っていない。現在はネットで中古品を購入できる。代表選手はフリマアプリ「メルカリ」だ。コロプラが17年に行った調査によると、10代女性の3人に1人が購入も出品も行っているという。同様のサービスに「ヤフオク!」があるが、こちらは18歳未満は出品できないため、未成年でも親権者の同意があれば利用できるメルカリへ人気が集中している。

 10代女子のライフスタイルを調査しているプリキャンティーンズラボ byGMOが実施した「お小遣い稼ぎに関する調査」(17年4月)によると、「インターネットを利用したお小遣い稼ぎを行ったことがある」10代女子が約3割存在し、「不用品などを販売」したことがある人は35.3%に上ったという。10代女子が売るものは、当然10代女子が欲しいものでもあり、筆者が取材した女子高生たちのほとんどがメルカリを使っていた。

 ある女子高生は、「使いかけの化粧品を購入したことがある」と言っていた。誰かが使った口紅は唇に触れる部分だけ切り取って使うという。「デパコス(デパートコスメ)」と呼ばれる、デパートで販売されるような一流ブランドの化粧品を手に入れるためなら、中古品でもかまわないと考えているのだ。

 一方、「100円均一のコスメも色が合わなかったらメルカリで売る。すぐ売れるから」と言っていた女子大生もいる。実際、メルカリを見ると100円均一のコスメが数多く出品されている。複数の商品をセットで売っている人が多く、詳細を見ると新品も中古品も混ざっている。100円均一の商品ですらアプリで売買する堅実さには頭が下がる。

「コスメ」と入力すると「ダイソー」がサジェストされるほど、100円均一の商品は多い
「コスメ」と入力すると「ダイソー」がサジェストされるほど、100円均一の商品は多い

用が済んだら売ればいい

 アプリの課金や有料コンテンツの購入に関しても、彼女たちの堅実さは変わらない。MMD研究所(東京・港)が18年11月に発表した「中高生のデジタルコンテンツの利用と消費調査」によると、 無料で利用しているデジタルコンテンツが有料化した場合、83.2%が「他の無料のコンテンツを探す」と答えている。課金やオンライン購入に関しては、中高生だけではなく世代を超えて浸透していないため、お小遣い制の中高生では当然の結果かもしれない。

 無料のコンテンツがない場合は購入することになるが、ここでも中古品を探す傾向がある。ある女子高生は、「マンガアプリで無料で一巻読んで気に入ったら、古本屋に行って続きを購入する」と言っていた。

 調査会社テスティー(東京・中央)の「それちょう」が2019年1月に発表した調査によると、マンガアプリで読んだ漫画を書籍版で購入したかの問いに、10代男性の44.8%、10代女性の44.1%が購入経験が「ある」と答えている。この購入が新品なのか、前述のように中古なのかは分からないが、少なくともオンラインで立ち読みした後、実際の購買行動に結び付いているとはいえる。しかし、購入した商品をまた売っている可能性が高い。

 メルカリによると、「新品で購入したものを数回使ってフリマアプリで売った」ことがあるユーザーの割合は昨年対比7.3%増加、「新品で購入したものを1回使ってフリマアプリで売った」ことがある割合は昨年対比7.6%増加しており、これらの回答は20~30代の若年層で顕著だという。「イマイチだったら売ればいい」「用が済んだら売ればいい」という考え方が浸透しているのだ。

 メルカリの調査は20~69歳までが対象だが、10代にもこの傾向が表れていることはお分かりだろう。若い世代は新品のものを所有することにそれほど執着していないのか、サブスクリプションサービス全盛の時代の流れに乗っているのか、もしくは両方なのか。若い世代を見て、消費行動の転換期を感じずにはいられない。